監督 砂田麻美
製作 是枝裕和
夫の病気が発覚して以来、こうした作品が続きますが…
これは入院する前から気になっていた作品で
終わってしまうかなと案じていたのですが意外に(失礼)、ロングラン中。
化学メーカーを退職した監督の父親、これから生活を楽しもうと思った矢先に病が発覚。
最期の日々を追ったドキュメンタリー
典型的な日本のお父さん、仕事一筋で休日は接待ゴルフ
家には美しく品のある妻、育ちの良い賢い娘、アメリカへ赴任した息子に3人の孫。
もちろん悲しいお話なんだけれど
私はそれより古き良き時代の日本の家庭に
何と言うか感動した。
小さい頃は私も
父の会社勤めは安泰で、母はいつも優しく
家庭の幸福は揺るぎないものだと無邪気に信じていた。
今ならばわかる
それが両親の勤勉さや忍耐強さに
支えられていたのだと言うことが。
この映画の主人公は優秀な子孫という確かなものを残したけれど
子供のいない私には何ひとつ残すものもない。
この作品、映画として優れているかは疑問だけれど
良いドキュメンタリーであることは間違いありません。
良き父親、模範的な社会人、優しいおじいちゃん
思い残すことはあったとしても、
幸福な人生だったのではないかと。
(ヒューマントラストシネマ渋谷)