「ロスト・イン・トランスレーション」 | Mの映画カフェ♪

Mの映画カフェ♪

映画の感想など


Mの映画カフェ♪-110904_191210.jpg


LOST IN TRANSLATION

脚本・監督
ソフィア・コッポラ
主演
ビル・マーレイ
スカーレット・ヨハンソン
2003年アメリカ

長い間気になっていた作品が、目黒シネマで再映!
舞台は東京、新宿。

雑踏を抜けてパーク・ハイアットにすべり込むタクシー
レストランもバーも行ったけれど
まだ宿泊したことのない…
私の一番好きなホテル…

タクシーを降りると、クロークとエレベーターホールだけの入口

エレベーターに乗って
ピークラウンジ
ピークバー
ジランドールの先にこじんまりとしたフロント

有名な書庫風の廊下をぬけて
さらにエレベーターで客室階へ
ニューヨークグリル
ニューヨークバーへ

そうそうこの導線が素敵。
食事をしてもお酒を飲んでも
昼間友達とお茶を飲むだけでも
新宿にあるというのになぜか、
くつろいだ楽しい気分になるホテルです。

サントリーのCM撮影のために来日した映画俳優のボブ・ハリス
ひどい通訳のせいで上手くいかない撮影、
バラエティーへの出演(マシューズ・ベストヒットTV!)
妻から送られてくるFAX
(子供の誕生日を忘れたとか部屋の内装をどうするとか)
そんなすべてに、辟易としている。

一方
多忙なカメラマンの夫と定まらない自分の生き方に
漠然とした不満を抱く若くて美しく知的なシャーロット

二人はエレベーターやバーで顔を合わせるうちに
言葉を交わすようになる。
ホテルを楽しむでもなく仕方なく滞在し
プールで泳ぎ、バーで時間をつぶす
無為な日々を過ごすうちに

そんな生活に、お互いに
いつしか親しみを感じている…

この映画は、「SOMEWHERE」に良く似ている。

成功したものの目的を見失った俳優と
恵まれているが不安を抱える女性
満たされない人々が何か解決策を見つけるわけでもなく
また明日も日常をやり過ごす。

感動のない毎日
ちょっとした可笑しい出来事


そして目的を失い
満たされないのは自分もそうだと


観ている私たちは思う。


人を驚かせようとか泣かせようとか、余分な意図がなく

自身の子供時代を埋めようとしているのか

それでいて自己満足に終わっていない、

私小説のような、純文学のようなソフィアの作品…

…素敵です。

とっても若いスカーレット・ヨハンソンの美しさも
もちろんパーク・ハイアットも

ごたごたした東京の街中さえ
すべてが空しくて愛しい

そんな映画でしたキラキラ