先の論文で、私は国家の生存権についていろいろ書きましたが、(通常の)生存権と国家の生存権を比較して論ずるときに混同が生じてややこしいと感じたので、国家の生存権という言い回しをやめ、これからは、国家生存権と呼ぶことにします。

 また、国家生存権の定義も、若干変更し、これまでの「国家が、他の国の属国としてではなく、客観的に見て国家と呼べるに値するような威厳や尊厳を有した、名実ともに独立した国家として存在し存在し続ける権利」を改め、「国家が、国家間の生存競争を生き残り、他の国の属国としてではなく、客観的に見て国家と呼べるに値するような威厳や尊厳を有した、名実ともに独立した国家として存在し存在し続けるために最低限は必要とされる、実力行使を含む多種多様な活動を行う権利」とします。

 定義の文言を若干変更したのには、理由があります。これまでの定義のままでは、国家が、侵略戦争ではなく、あくまで自らの生存のために不可避な武力行使等をする事を肯定するのにはやや説得力に欠けると気付いたからです。