2010/09/23(木)
LEONです。
浅田次郎の『活動写真の女』を読み終えました。

学生運動で入試がなかったため、東大を断念して京大に入学した僕こと三谷。
高校中退で大検を受けて京大医学部に合格した清家と映画館で出会い、後に親友となる。
学生下宿で京大哲学科の結城早苗と一部屋はさんで住むようになり、やがて深い仲になる。
この三人がきしくも太秦の映画会社でアルバイトをすることになり、そこで30年前に死んだ
女優伏見夕霞と出会うのです。
ソフト怪談小説でもあり青春恋愛小説でもあるんです。
で、ここでストーリーを書いてもしかたないし、第20章の一部を引用します。
その前にこれを見てください。
写真集 新作 第39回 法金剛院 です。
で・・・引用開始します。
その数日後、僕と早苗は辻老人に誘われて花園の法金剛院に蓮を見に行った。
-----中略-----
『法金剛院いうて、花園の小さなお寺さんなんや。蓮の名所でな。』
-----中略-----
法金剛院は、かつて隆盛をきわめた洛西ハリウッドのただなかにあった。太秦からも
双ケ岡からも、等持院からもほど近く、昔はしばしばロケに使われたものだと辻老人
は言った。
-----中略-----
突然、僕らの目の前に極楽浄土の光景が開けた。
『うわあっ、きれい!』
と、早苗が素頓狂な歓声を上げた。
広い池の面を、両掌をかざしたほどの大輪の蓮の花が被っていた。
『どや、カオルちゃん。みごとなものやろ』
辻老人は自慢げに言い、ほうっと長い息をつきながら一面の蓮の花を見渡した。
-----中略-----
『誰も来ませんね。観光の穴場でしょう』
『商売気のないお寺さんやさかいな。何でもその昔は、花園の駅あたりまでずうっと、
大きな伽藍やったそや。この蓮池だけが変わらずに千年も続いとるのやろ』
さて・・・この池の中之島にも真夏の真昼間から夕霞の幽霊が現れるんですが・・・
成仏してもらうには・・・・。
浅田さんのいつもの切ない感じがたまらない・・・素敵な小説でした。