2010/05/07(金)
LEONです。
浅田次郎の『プリズンホテル【4】春』を読みました。

シリーズ完結編的位置づけですが、とにかく面白くて一気読みでした。
今回は・・・前の経営者のときからこのホテルの板場を預かる板長さんに学ぶことが多いとして、
大手ホテルの総料理長としての復帰を拒み続けているシェフの服部が独白する場面を紹介します。
あなたはどうして、そんなにも大量に使う塩を、すっかり殺してしまうことができるのですか。
あなたの作る料理は、どうしてそんなにも芳醇な甘さに満ちているのですか。
あなたの作る雑炊は、どうして米粒のひとつひとつが、兵隊のように同じ大きさに揃っている
のですか。
あなたは半年も塩漬けにした山菜を、どうして今しがた山で摘んだもののように、甦らすこと
ができるのですか。
あなたの切った食材は、魚も、肉も、野菜も、どうしてみな生きているのですか。
あなたの料理を口に入れたとたん、人はなぜ同じ顔をして笑うのですか。うまいでも、すばら
しいでもなく、なぜ毒のあるきのこを口に入れたように、笑い出すのですか。
どんな無礼講の席でも、下げられた食器の上に刺身のツマひとつ、煮しめのかけらひとつ残
されていないのは、なぜですか・・・。
なぜか料理の真髄みたいな話が印象的でした。