モリコーネ 映画が恋した音楽家(原題:Ennio) | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

日曜日の午前中『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(原題:Ennio)(2021)を見てきました。監督はジュゼッペ・トルナトーレ。自分のドキュメンタリー映画を作るには、監督はジュゼッペ・トルナトーレ以外はダメだと本人が言ったそうです。

 

公式Twitter

 

モリコーネさんの映画音楽を初めて聴いたのは、小学生の頃『荒野の用心棒』等のガンマンものだと思いますが、もちろんモリコーネさんの作曲などとは全く知るよしもない。おそらく最初にものすごい音楽だと意識したのはまだ十代の頃に観た『Once Upon a Time in America』(1984)『The Mission』(1986)『The Untouchables』(1987)『Nuovo Cinema Paradiso』(1988)。私の中でもトップクラスに大好きなこれらの映画の音楽を作曲したのがモリコーネさん。この4作しか作曲していなかったとしても後世に偉大な映画音楽の作曲家として名を残せそうなくらい素晴らしいと思う。10年前にこのブログで好きな映画トップ3として挙げたのが『ニュー・シネマ・パラダイス』『独裁者』『アンタッチャブル』でした。


ニュー・シネマ・パラダイス』は最も好きな映画と言っても過言ではなく、3日連続で映画館で見たこともあり、これまでに少なくとも30回は映画館で見ました(私がお勧めするのは3時間の完全版ではなく、2時間の劇場公開版)。モリコーネさんの訃報の際にも書きましたが、愛すべきストーリー、心に突き刺さるアルフレードの台詞の数々、ノスタルジーをかきたてる音楽、どれをとっても私にとって最高の映画です。浜辺の場面から最後までの約30分間はずっと泣けますが、一番好きなアルフレードのセリフは「お前の噂を聞きたい」です。この映画になくてはならないのが、モリコーネさんの音楽です。

それから…結婚披露宴の際に、お色直しのキャンドルサービスで来賓者のみなさんのテーブルをまわる時のBGMでも「Tema d'amore」を使わせていただきましたウエディングケーキウインク飛び出すハートニコニコウエディングケーキ



2003年には、15周年メモリアル・コレクションも買いました。



モリコーネさんがこの映画の中で、ニュー・シネマ・パラダイスの仕事が楽しかったと言っていたのが印象的でした。



Brian De Palma監督『アンタッチャブル』の音楽も非常に素晴らしいですね。6曲のデモを作って、一番使わないでほしいと言っていた曲が採用されたそうです。スリリングなのに美しい。ケビン・コスナー、ショーン・コネリー、アンディ・ガルシア、ロバート・デ・ニーロが Giorgio Armani に身を包んでいるのが超絶カッコよくて、社会人になってアルマーニを着るようになった(学生時代はコム・デ・ギャルソン派でしたが…)のは、この映画の影響です。それくらい影響を受けた素晴らしい映画。


乳母車のシーンのアンディが最高にカッコいい飛び出すハート


『ミッション』から「ガブリエルのオーボエ」


Once Upon a Time in America



Noodles, I slipped.



ただ、これらの他にもものすごい数の映画音楽を手がけていて、野心的な取組みや不協和音、雑音までも音楽にしたり。いろんな監督と対立しても自分を曲げず、監督がいつもモリコーネさんに屈するのです。そして、何十年経っても自作のメロディがすらすらと口ずさんで出てくる。こんなに素晴らしい作曲家は他にいないと思います。日本で唯一対等に立ち向かえるのは、浪花のモーツァルト キダ・タロー先生くらいか爆笑(モリコーネさん1928年生まれ、キダ先生1930年生まれ)


アカデミー賞に何度ノミネートされても受賞できず、ついに6度目でアカデミー賞の受賞式でオスカーを妻のマリアさんに掲げた場面は泣けました笑い泣き


モリコーネファン、映画ファン必見の映画です。


【監督】ジュゼッペ・トルナトーレ
【キャスト】エンニオ・モリコーネ、ジュゼッペ・トルナトーレ、クエンティン・タランティーノ、クリント・イーストウッド、ウォン・カーウァイ、オリヴァー・ストーン、ハンス・ジマー、バリー・レヴィンソン、ジョン・ウィリアムズ、ダリオ・アルジェント、テレンス・マリック、ブルース・スプリングスティーン、ベルナルド・ベルトルッチ、ジェイムズ・ヘットフィールド、クインシー・ジョーンズ、ローランド・ジョフィ、リナ・ウェルトミューラー、フィル・ジョアノー
【作品情報】2021年/イタリア/157分/原題:Ennio配給ギャガ



忘れない――マエストロが遺した永遠のメロディ
2020年に逝去した映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネ唯一無二の旋律であらゆる映画に愛と命を吹き込んだ天才音楽家の真実の姿とは?

2020年7月、世界は類稀なる存在を失った。エンニオ・モリコーネ、享年91歳。500作品以上の映画とTVの音楽を手掛け、アカデミー賞®には6度ノミネートされ『ヘイトフル・エイト』で受賞し、全功績を称える名誉賞にも輝いた。そんな伝説のマエストロに、弟子であり友でもあるジュゼッペ・トルナトーレ監督が密着、結果的に生前の姿を捉える最後の作品となってしまったドキュメンタリー映画を完成させた。
モリコーネ自らが自身の半生を回想、かつては映画音楽の芸術的地位が低かったため、幾度もやめようとしたという衝撃の事実を告白する。そして、いかにして誇りを手にしたかが、数多の傑作の名場面とワールドコンサートツアーの演奏と共に紐解かれていく。さらに、70人以上の著名人のインタビューによって、モリコーネの仕事術の秘密が明かされる。
モリコーネのメロディを聴くだけで、あの日、あの映画に胸を高鳴らせ涙した瞬間が蘇る。同じ時代を生きた私たちの人生を豊かに彩ってくれたマエストロに感謝を捧げる、愛と幸福に満ちたドキュメンタリー。