酒井敏『京大的アホがなぜ必要か 〜 カオスな世界の生存戦略』 | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

週末は読書、読書、読書。酒井敏『京大的なアホがなぜ必要か 〜 カオスな世界の生存戦略』(2019)を読みました。


知の根幹が揺らいでいる。 背景には、学問に対する社会の無理解・誤解・偏見があるのではないか……。現代人は何でも予測できると思いたがる。しかしながら、自然界は予定調和ではなく、予測不可能なカオスであり、 生き延びるには「非常識なアホ=変人」が必要なのだ。「変人講座」が大反響を呼んだ「もっとも京大らしい」京大教授が、カオス理論やスケールフリーネットワークといった最先端の理論から導き出した驚きの哲学と「アホ」の存在意義、育て方を披瀝する。
 ◆目次◆
序章 京大の危機は学術の危機
第一章 予測不能な「カオス」とは何か
第二章 カオスな世界の生存戦略と自然界の秩序
第三章 イノベーションは「ガラクタ」から生まれる
第四章 間違いだらけの大学改革
終章 アホとマジメの共同作業


京都大学に入学してすぐに著者の酒井敏さんは「アホなことせい(=しなさい)」と教授に言われたと言うが、京大出身者には驚くことではない。京都大学にはユニークな先生がいました。


森毅先生は特に有名。破天荒の代表みたいな方で、テレビにもよく出演されていました。期末テスト(レポート)では自分で問題を作って自分で解いて提出すれば単位をくれるらしい。美味しいカレーの作り方を答案に書いて単位をもらったという噂を聞いたことがあります。『数学受験術指南』が有名です。私が昔買ったのは表紙が濃い緑でしたが…


次に有名というか、京大生なら知らない者はいないと思われる伝説の某T教授。4月の初日の講義は座りきれないほど超満員の大盛況。みんなT先生の伝説の「名演説」を聴くために集まります。冒頭に先生が「私は身体が弱いんです。みなさんに単位をあげますから、授業に出ないでください!」と言う「名演説」で万雷の拍手喝采拍手で、さっとみんな退出して、2回目からは受講者がほとんどいない。テスト問題は事前に発表され、解答を数行書くだけで単位を取れるという神のような先生爆笑


教養部は1993年に廃止され、人間総合学部になりました。森毅先生やT先生の授業を受けたかったなぁ〜


私が受講したドイツ語の授業では、1回発表すれば20点もらえるというシステム。ある小説を読み進めるという内容なので、先週どこまで進んだかを友人に聞いておき、その次を和訳して授業に出席して、最初に元気よく「はい!」と手を挙げて当ててもらう。それを4回やれば80点です。私の成績表を見ると、90点でしたウインク


今年の北九州市の成人式でアヒルの被り物を着けた袴姿の女性が話題になっていましたが…下矢印

京大の卒業式には毎年コスプレした人がいます。1990年代のある年はその当時は1人だけパンダがいました。それがテレビのニュースで放送されたのをよく覚えていますが、学部代表生の隣に座っていて、学長から名前を呼ばれてパンダがすくっと立ち上がると会場がどよめき…パンダはすぐに座って隣の本物が壇上へ…会場爆笑爆笑驚くべきは、卒業アルバムにもそのパンダ姿で載っていたらしいです。親が泣くなぁ爆笑


閑話休題


第2章まではカオス、スケールフリー構造、臨界状態、フラクタルといったことを書いているので、小難しく思えるかもしれないですが、それが第3章以降の布石となっています。


我々はカオスの世界に住んでいるので、選択と集中では物事に対処できない。無駄と余裕、遊び、回り道、「アホ」も重要。今、我々がナマコを美味しいと食べられるのは「アホな人」のおかげです爆笑物理学を頂点とする樹形図構造の論理で細分化・専門化されたような状況の中ではイノベーションやブレークスルーは生まれない。学生に「教科書を読むな」と指示する酒井先生。「アホのすること」は、無駄が多いかもしれないけど、実はその無駄もまた重要。その無駄やガラクタがその後の何かに役立つこともある。


京大は「放任主義」ではなく「放牧主義」。「大学は何もしないわけではなく、飢え死にしない程度にはエサを撒いてある」…これがいわゆる「京大っぽさ」の源…なるほど爆笑また、京大は、99人の屍と1人の天才とも言われる…私は前者か爆笑


アホとマジメは役割分担。共同作業でうまくいく。森毅先生の言葉「若いうちから、もっとムダせい。ムダがどれだけ身につくかで、教養が広がるんやからね」


酒井敏さんは言う。「新しい価値を生むのは効率を重んじる多数派ではなく、失敗を恐れない少数派。その成功率はひどく低いけれど、それは社会の未来のために必要だ」


エジソンの名言「それは失敗じゃない。その方法ではうまくいかないことを発見したんだ。だから成功なんだよ」


「京大的」とされていますが、大学教育全般や大学教育改革や教育全般について言えるのかなと思います。昔の京大にはそれを許す風土があった。現代の日本社会ではなかなか認められない考えかもしれないですが、酒井先生の主張には納得感がありました。


私は「アホ」が好き。アホな友人とアホなことをいっぱいやってきた。四万十川をゴムボートで下って死にかけて、Mさんとの出会いがあり、「探偵ナイトスクープ」並みの行動力でTクン、Mクンと2019年10月に◯年ぶりに再会を果たした。

下矢印


我々アホな3人組は、博多ラーメンを食べるために京都から車で九州まで。


流氷を見るために京都から北海道まで高速道路を使わずに5,000km以上を2週間で走破。深夜のオホーツク海の海岸沿いで吹雪にあって立ち往生したり、山の中でガス欠寸前になり、下手すれば死んでたかもドクロこのアホな我々3人組のために父がどこからともなく4WDツーリングワゴンを買ってきてくれた。我が父も相当な「アホ」だった爆笑


親の心配をよそに45日間欧州放浪の旅


アホなことをいろいろ経験し、いろんなアホなことを学んだ。一生大切なアホな友人と。これからもアホな精神でアホなことをアホな友人と明るく楽しく元気よくやっていきたいと思っていますウインク