タンホイザー @ バイエルン国立歌劇場 日本公演 | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

7月9日にミュンヘンで観てきたバイエルン国立歌劇場『タンホイザー音譜   現地で観るのだからというか、来日公演に行かない代わりにミュンヘンまで観に行くのだから、日本公演は観る必要なしと最初は思っていたのですが… 素晴らしかったのと、アンネッテ・ダッシュさんのエリーザベトを聴きたくて、やっぱり観てきました。2日目の公演です。

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演出や感想は前回書いているので、違いを中心にコンパクトに書きます。

主要キャストは・・・
ヴォルフラム:クリスティアン・ゲルハーヘル → マティアス・ゲルネ
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エリーザベト:アニヤ・ハルテロス → アンネッテ・ダッシュ
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にそれぞれ変更。それから、羊飼いの少年役は、初日(21日)は Kalle Vogt クンでしたが、病気で降板したという噂。

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2017年9月25日(月)15時開演 NHKホール
リヒャルト・ワーグナー 『タンホイザー』Tannhäuser
Romantic opera in three acts
Composer Richard Wagner · Libretto by Richard Wagner
In German language with Japanese surtitles | New Production

Monday, 25. September 2017
03:00 pm – 07:45 pm
NHK Hall

Duration est. 4 hours 45 minutes · Intervals between 1. Akt and 2. Akt (est. 04:10 PM - 05:00 PM ) between 2. Akt and 3. Akt (est. 06:10 PM - 06:50 PM )

Asien-Tournee #BSOontour
Open ticket sales
Premiere at 21. May 2017

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演出はだいたい把握しているし、当日の映像が配信されていたので繰り返し見たこともあり… 分からない点はコメントしてくださった方の解釈を教えていただいたり(ありがとうございます!)、いろいろな方の初日の感想を読んだりしてある程度解明できたので、今回は演出をあれこれ考えるよりも、音楽と歌を前回以上に楽しもうと思っていました。現地公演との演出上の違いはあまりなかったと思いますが、明らかな違いと言えば、第1幕の序曲の終盤に、現地の公演ではハインリヒ(タンホイザー)が無数に放たれた矢の間を(ワイヤーで引っ張られて)上がって行くのですが、その演出はカットされていました。NHKホールに適当な装置がなかったのか、安全を考慮してなのかな。
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あと、見逃したのですが、壁の丸い窓の奥にニンフたちが踊っている中で、馬に乗ったニンフが横切る場面があったのですが、日本公演では出て来たかな? 気づいた時に一瞬馬のお尻だけが見えたような気もするし、勘違いのような気もする。それから、第2幕のモジモジくんたちの動きが違っていたような… というくらい、演出はほどほどに見ていただけです。

前回最高だったヴォルフラムは、ゲルハーヘルさんではなく、ゲルネさん。私の好みは、断然ゲルハーヘル。会場の質や座席の違いがあるので、その影響もあるかもしれませんが、ゲルネさんの声はややこもった感じ。特に第1幕に初めて歌うところは何を歌っているのか分からなかった。こもった感じを評価されている方もいらっしゃったので、これをシブいとみるか聞こえにくいととるかは好みの問題でしょう。とは言え、ゲルネさんはとても柔らかくシブい声と演技でした。夕星の歌もとても素晴らしかった。やはりヴォルフラムがいいと舞台がビシッと締まりますね。でもやっぱり、再びゲルハーヘルを聴きたかったなぁ〜というのが本音です。

アンネッテ・ダッシュ。今回は彼女の歌を聴きたくてチケットを取ったほど楽しみにしていました。最初はやや硬めの声なのかなと思いましたが、「貴き殿堂」の前半だけ。気品のある美しい歌声が実に素晴らしく、ハインリヒとの二重唱もよかった。第2幕の後半でのハインリヒを擁護する決然とした覚悟を決めた歌には力強さを出し、第3幕のマリア様への祈りの歌でのひたむきな愛を歌う場面ではウルウルきました。この辺りの木管が非常に美しく響いていて感動しました。さすがです。聴いてよかった!
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領主ヘルマンのゼッペンフェルトさんは、出番が少ないのがもったいないくらいの威厳に満ちた深みのある素晴らしい歌で、もっと出番の多い役で聴いてみたい。カーテンコールで bravo が少なかったのに驚き。
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パンクトラヴァさんは耽美的にタンホイザーを引きとめる一方で怒りを露わにするところでもどこか妖艶で品があるところが好きです。7月には『影のない女』(バラクの妻)と『タンホイザー』を観て、その時も一緒に写真を撮ったのですが、その時に話したことをよく覚えてくれていました。10月1日の公演ではジークリンデを歌います。
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ヴァルターのディーン・パワー。第2幕の短いソロ「ヴォルフラムが示した泉」は結構よかったです。前回も書いたかもしれないですが、彼は nice guy。
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フォークトさんは本プロダクションで初めてタンホイザーを歌ったわけですが、私にはローエングリンのイメージが強すぎたのですが、現地で観てきて、その後も無料配信されていたその公演の映像を繰り返し見ていく中でだんだんと馴染んできました。まぁ、冒頭の「Zu viel!」はまだちょっと違うなぁ〜とは思いますが… 輝かしい声と豊かな声量はこの日も健在。第2幕のヴォルフラムたちとの歌合戦では反論の歌が前回聴いたよりも小憎らしく聞こえていた。第3幕の長いローマ語りも、前回と比べても抑揚のある印象で、落胆と失望、諦めと悲しみを見事に表現していました。やはり、フォークトさんは素晴らしい歌手だと再認識した。カーテンコールではいつものようにプロンプターと握手。
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合唱については言うことがない。ただただ素晴らしい。ゲネプロでペトレンコにじっくり絞られたようで見事。第2幕最後や第3幕エンディングの感動はうまく言葉では表現できないほど。ペトレンコとオケもどこがどうなどとひとつひとつ書き表すことができない。木管の美しい響きや弦のアンサンブル… 挙げていけばキリがない。ミュンヘンで観た時よりは幾分オケに任せていたような気もするけれど、細かい指示が徹底していて、統率力が尋常ではないと思う。それに確りと応えるオケも見事というほかなく、音響に難のあるNHKホールなので十分にはそれが伝わっていなかったのは残念ですが、それでも素晴らしい演奏を聴かせてくれたオケに拍手。

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指揮:Kirill Petrenko キリル・ペトレンコ
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Landgraf Hermann 領主ヘルマン:George Zeppenfeld ゲオルク・ゼッペンフェルト
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Tannhäuser タンホイザー:Klaus Florian Vogt クラウス・フロリアン・フォークト
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Wolfram von Eschenbach ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ:Matthias Goerne マティアス・ゲルネ
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Elisabeth エリーザベト:Annette Dasch アンネッテ・ダッシュ
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Venus ヴェーヌス:Elena Pankratova エレナ・パンクラトヴァ
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Walther von der Vogelweide ヴァルター・フォン・フォーゲルヴァイデ:Dean Power ディーン・パワー
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Biterolf ビッテロルフ:Peter Lobert ペーター・ローベルト
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Heinrich der Schreiber ハインリッヒ・フォン・シュライバー:Ulrich Reß ウルリッヒ・レス
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Reinmar von Zweter ラインマル・フォン・ツヴター:Ralf Lukas ラルフ・ルーカス
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Ein junger Hirt (Stimme) 若い羊飼い(声):Elsa Benoit エルザ・ベノワ
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Ein junger Hirt (Szene) 若い羊飼い(少年):Timothy Moore ティモシー・モーア

Vier Edelknaben 4人の小姓: Solisten des Tölzer Knabenchors テルツ少年合唱団

Bayerisches Staatsorchester バイエルン国立歌劇場管弦楽団
Chorus of the Bayerische Staatsoper バイエルン国立歌劇場合唱団
 
演出・舞台・衣装:Romeo Castellucci ロメオ・カステルッチ
振付:Cindy Van Acker
演出助手:Silvia Costa
舞台装置助手:Maroussia Vaes
脚色:Piersandra Di Matteo / Malte Krasting / Miron Hakenbeck
合唱指揮:Sören Eckhoff

ミュンヘンで観た時の感想記事はこちら。
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平日マチネばかりの3公演がS席65,000円ということで、チケットの売れ行きが良くなくて、最後の方は値引きしていましたが、これに懲りずにまた来てくださいね。その前に私がミュンヘン行く方が早いかもてへぺろ
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Bayerische Staatsoper Facebookより