道化師のソネット | 編集長富田志乃の部屋 ~人生が変わる出版のお話~

編集長富田志乃の部屋 ~人生が変わる出版のお話~

出版業界33年。
営業(広告、書店、取次)から編集に至るまで、まるっと制覇!
出版業界を知り尽くした現役編集長が、出版のあれやこれをお伝えします。
元宝塚花組トップスター柚香光さんと上カルビをこよなく愛する肉食系編集長

私は、

周りから理解されにくい子どもでした。

 

中学生になり、

自分ではただ冷めているだけだと

思っている行動も

 

「孤高の不良」

 

と捉えられていました。

 

当時は、真面目、スポーツ、不良の

3パターンくらいしかなかったので

仕方ないのですが。

 

ただ

なんだか、

 

「やりにくいなあ」

 

と感じていました。

 

「生きにくい」ではなく

「やりにくい」です。

 

そんな私に、

「志乃はスゴイ、志乃は天才」と

 

なにかにつけて、

私を学年代表、学校代表に

推薦しようとする美術の先生がいました。

 

絵を描けば、

担任が反対するのに、

私がクラス代表に。

 

作文を書けば、

国語の先生を説得して、

私が学年代表に。

 

交通弁論をすれば、

校長に懇願して、

私が学校代表に。

 

(*山梨県中学生交通安全弁論大会

というものがあり、

夏休みの宿題として、

弁論大会の原稿の提出が必須でした)

 

ちなみに交通弁論に関しては、

地域代表にもなり、

県大会にも行きました。

 

 

中3の文化祭、

地域代表になった

「あの不良の志乃ちゃんの交通弁論」

全校生徒の前で発表することになったのですが・・

 

ひとまず「不良」認定されているので

待機中も「めんどくさいなあ」

という空気は出さないといけません。

 

本当は緊張しているけど、

不良たるもの、

 

「別に」

 

という顔をしている必要もあります。

 

 

私の出番の前には、

2年生を中心とした

演劇部が創作劇をやっていました。

 

内容については全く覚えていないのですが、

ラストシーンから流れていた曲は

 

「道化師のソネット」

 

演者、スタッフが抱き合って、

泣いているのです。

 

「なんだよ、青春かよっ」

「なんだよ、さだまさしって」

 

あの頃は、

さだまさしさんを聴いているのは

真面目な子だけ。

勝手なイメージだけど。

 

不良だって言われている私は

絶対聴いてはいけないのです。

まして、聴き入るとか、

感動するとか、

涙が出るとか・・・・

 

「やばい、やばい、ここで泣いたらまずいって」と

ぐっとこらえて

本当に、歯を食いしばって、涙堪えて

 

いよいよ私の出番。

体育館の舞台のセンターに立つ

 

5分後 割れんばかりの拍手。

 

舞台を降りると、駆け寄ってくる教師たち。

 

「富田、感動した、素晴らしい、

お前を代表にしてよかった」

 

はて?

 

くしくも?

泣くのを我慢しながらの切々と訴える

スピーチになってしまったようで。

 

「えっと・・

不覚にも道化師のソネットに感動しました」

とも言えず。

 

くだんの美術の先生はドヤ顔。

 

まぁ、いつもお世話になっていることだし、

ここはひとつ

照れたふりをしながら、

教師たちの絶賛のシャワーを浴びる続ける

15歳の志乃ちゃんでした。

 

 

 

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