先日、ネット上のみならずTVでも話題になった、イーロン・マスク氏によるX/旧Twitterの有料化報道。
正直、以前もTwitter Blueの時に同じような騒ぎになってたので、本当なのか?と最初から訝しんでたが、今回も早とちりというか、小さなものを増幅したような報道であるというのが自分の見解だ。
まず当のX/Twitter上を見てみると、ニュース記事だけに反応してイーロンに文句を言っているのが大半。
ただ、コミュニティノートというツイート/ポストに補足情報を付与する機能が『あくまでプレミアム機能に低価格帯を設けるだけである』という注釈をした事で、『全ユーザー有料化はデマ』という情報も広まっていた。じゃあ実際のところどうなのか…?ということで、英語がわからないなりに、YouTubeに落ちてた件の動画を見てみた。
まず前提として押さえておかなければいけないのが、今回の発言の出どころは、イーロンマスクとイスラエルのネタニヤフ首相との対談だという事。
なんでいち金持ちと一国の首相が対談なんてしたのか?というと、反ユダヤ主義が最近ネット上で盛り上がってきているからだ。そして、イーロンマスクは反ユダヤ主義『的な』投稿を繰り返していたKanye Westを一時凍結解除した(結局カニエはイーロンにも悪態を吐き始めたのですぐ再凍結された)。他にもイーロンはDonald Trumpを凍結解除したり、主に左派/リベラル層からその動向を危険視されてきた。
そんなわけで、今回の対談の理由の一つは、反ユダヤ主義的なものを含めたヘイトスピーチについて話し合うためなわけです。その話の中で出てきたのがいわゆる『Xシステムの有料化』になる。
じゃあどんな流れで『有料化』という言葉が出てきたかというと、まずネタニヤフ首相が『ヘイトスピーチはBot軍団によって増幅されているけど、そういうのに詳しくない俺にはどうすりゃいいのかわからん』的な事を話すところから始まる。Botとは、要は自動でツイート/ポストしたりするアカウントの事だ。1人の発言が、同じ内容でbotでめちゃくちゃ呟かれたり、Botによってリツイート/リポストされる事で、タイムラインがヘイトスピーチで満たされ、それに感化されていわゆる陰謀論的な考えに染まってしまう人も出てくるのが危険だ…と言いたいのだと思う。
それに対してイーロンが「少額の課金制度を作ればBot対策になるからそれを考えてる」と返答している。続けて「Xプレミアム登録者のポストの優先度を高くする、そして今より低価格帯を設けるつもりでいる」と話している。
…はて、これで「全ユーザー有料化」と言えるだろうか…?
さらに続いて「今はAIが非常に優秀になっていて、人間よりキャプチャー・テスト(マス目から特定の構造物を選んだりするやつか?)を正確にできる。人間は選ぶのが遅いから、選ぶのが早過ぎたらAIだ。」とも話している。
これはあくまで自分の解釈だが、これらの発言で「全ユーザー有料化」とは言えないと思う。どちらかといえば、ヘイトスピーチを蔓延させないための対策として、
①Xプレミアム(課金者)のポストの(おそらく「おすすめ」タブにおける)タイムライン上での表示を優先する
②ポストを広めるためにはプレミアム登録する必要が出てくるので低価格帯を設けるが、そうするとBot軍団を作れなくなり、ヘイトスピーチが広がらない
③AIやロボット対策として認証制度を強化する
をイーロンは言っているのではなかろうか…?つまり、普通に平和にTwitterした人たちは今後も変わらないっぽい。…と解釈したのだが、どうだろうか?
ただ、例えば「バズりたい!!!」とか言う人は課金しなければバズるという事は難しくなるんじゃなかろうか?しかし、課金したら課金したで現在のXは収益化もできるので、それで暮らしていけるという事はないかもしれないが、収益と月額費用トントンの実質無料で使用できる人は案外多いかもしれない。
ただただ、収益化以後、認証ユーザー(もしかしたらbot?)が大量発生して同じ認証ユーザーのポストにコメントしまくったりしてるので、今また別のカオスが生まれてるが大丈夫なんだろうか…?まぁ、以前イーロンは「たぶん何回も失敗を繰り返すので、暖かい目で見守ってくださいな」と言ってたので、いちいち少しの変化にカリカリせんでもいいじゃんなぁと自分は思う。どちらかといえば、Twitter漫画とか、TwitterがTwitter管轄外?のビジネスに利用されてる状況が変なのかなぁと思ったりもする。俺もTwitter漫画好きだけどさ。
そんな中、マスコミは「イーロンマスクがX・旧Twitter全ユーザーを有料化」とだけ報道している。「示唆」とか言うならわかるけど、断言した文章で報じている。それはどうなんだ?イーロンは一切All Userとか言ってないと思うんだが…?
先述のように主にイーロンマスクは左派・リベラル層に嫌われまくっている。そして先述のコミュニティノートやインプレッション数の表示などイーロン買収後に隆盛したX・Twitterの機能も主に左派に嫌われている。コミュニティノートは福島原発処理水などにおける左派の「感情論」に「正論」をぶつけたり、インプレッション数の表示によって左派系新聞社のTwitterがフォロアー数の割にいいね数が極端に少ない現状などが浮き彫りになったりした。
今回のイーロンの発言も、課金の是非はおいとくとすれば、ヘイトスピーチや悪質な思想の蔓延を防ぐためのもので、少しくらい褒められていいはずだ。なのに、そのへんの発言を報道せずに(それもなんでやねん!)、Xの一般ユーザーがイーロンへの不満を向けるようにしてるのではないか?とも考えてしまう。マスコミはイーロンマスクについてほぼポジティブな報道をしない。どうせネガティブな報道をするなら、サマソニでGrimesのステージに上がってスマホで撮りまくりめっちゃ邪魔だった報道でもすればいいのに…。
今回の「Bot軍団による拡散」で真っ先に思い浮かんだのがツイデモの実態。ツイデモとは、ハッシュタグ(#)をつけて「~に反対します」とか大勢で呟くもので、個人的には集団マスターベーションの一種だと思ってるものだ。そんなツイデモも、故・安倍元首相の国葬ツイデモがごく少数のアカウントの大量投稿によるものだと判明したのだ。
そいで、マスコミも国葬反対だったり疑問を呈す報道を繰り返していた。ただ、以前書いた通り国葬の実施や閣議決定の是非には根拠がある。それをマスコミはほぼ一切報道しなかった。新聞では「例によって」産経新聞だけがコンメンタールについて書いた。
ごめんよイーロン。こんな駄ツイのために命を張らせたわけじゃないのに。
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) May 27, 2023
ちなみに我らが平沢進は俺と同じくイーロンのTwitter買収を非常に好意的に捉えております。