2024年 東京テアトル、ヨアケ、happinet
原作
吉田修一
脚本
大森立嗣
監督
大森立嗣
音楽
世武裕子
福士蒼汰
松本まりか
浅野忠信
福地桃子
根岸季衣
吉岡睦男
北 香耶
平田 満
財前直見
三田佳子
映画らしい映画を、しっかり見せてもらった。
まず、松本まりか氏はひたすら美しかった。
本当に良かった。頑張った甲斐がある作品。
この手の作品は、やり方を間違えると、性的欲求の道具コンテンツになりかねない。
映画は観客のものなので、そういう風に見てくれてもいいが、
そうではなく、非常に質の高い、サスペンス、ノアール、に仕上がっている
しかも、原作が少し、難しい原作なのにもかかわらず、ほぼ変えずに、演出の力だけで、
あそこまで、ミニマムなサスペンス映画に仕上げたのは、今回は大森監督が健闘した証が出た。
品格も重要で福士蒼汰君、松本まりかさん、という、今の一流スターがやっていることが重要だ。
止めには、三田佳子さんがいる。重鎮の貫禄で、作品に重み、深みを与えている。
さりげなくだが、福地桃子さんも良かった。新聞記者として事件を追うもう一人の事件追跡の主人公だ。
タイトルは湖の女たち。湖にかかわる女たちの時代を超えた様々なドラマが一つの結末を迎えるまでを描く。
だから、女たち、松本まりか、福地桃子、財前直見、根岸季衣、三田佳子などが集結し、それぞれの役を全うする。
事件捜査を行う刑事コンビは、浅野忠信と福士蒼汰。
容疑者で疑われるのは、松本まりかと財前直見 ほか。
刑事コンビは二人とも悪徳警官だ。しかしそれには理由がある。
その理由すらも、最後は回収されていく。
しかし、最後、回収されるとはいっても、テレビドラマのように説明や展開では回収しない。
推理なんてもってのほか。
あの回収の仕方は私は絶妙だったと思う。
サスペンス好きなら犯人は誰かという話になるがそれもわかるようになっている。
それも含めた回収が見事というか、なるほどとうならされた。
大森立嗣さんは成功作と失敗作の差が激しい。しかし、彼は探偵、刑事、などを題材にハードボイルドノアールに常に挑戦する人なので、新作あるたびに見てしまう。
そして、失敗にも付き合わされてきた。
『光』なんてもっとも足るものだ。
しかし、今回は意地を見せてくれたと思う。
質の高い、『映画』になっていた。
あと推しておきたいのは、写真の撮り方である。
大森さんは『まほろ駅前多田便利軒』から、映画という写真の撮り方だけは一貫して高い質感で撮り続けてきた。
今回は夜の湖という舞台を良く生かした作品になっている。湖を中心にした日本の地方の風景を美しく切り取ったワンシーンワンシーンも注目どころだ。
テーマは美しさということだが、セクシャルなシーンも含めて、美しさの表現には成功していると思う。
それを世間では、品がある、という。
品を保った、サスペンス、ノアール、ハードボイルド、メロウだ。
