2022年 東宝株式会社、博報堂、角川書店、スターダストホールディングス、JR東日本企画

 

 

原作

一条 岬

 

監督

三木孝浩

(管制塔、ホットロード、フォルトナの瞳)

脚本

月川 翔

松本花奈

 

撮影

柳田裕男

美術

松永桂子

編集

穂垣順之助

 

 


福本莉子

 

 

道枝駿佑

 

 

古川琴音

 

 

松本穂香

 


水野真紀、野間口徹、野波真帆

 

萩原聖人

 













 

圧倒


 

宣伝にもあった座組の通り。期待を裏切らない圧倒的な仕上がりだった。

 

一つは記憶を失うということは、死に値する絶望だということ。

あるシーンでそれがわかる時、この映画の演出と原作、脚本の本気が伝わってくる。

 

人を好きになるとはどういうことか、恋愛映画の普遍的なテーマを改めて考えさせられる。

 

父親とは、どんなに表向きだらしない父親でも、子供たちを育て、自分の人生も進め、年をとっても、もがき苦しみながら生きている。子供たちは決して裏切らないというか、この映画の子供たちは父親を裏切らない。

 

世界中で父親をやっている人々、近くそうなると予感している人にはお勧めすることが出来る。

 

 

弟という存在の尊さ。私にも弟たちがいるので、確かに彼らは頭にくることもあるし、しょうがないと思うこともあるし、ケンカもすることもある。周りから見たら私より強いかもしれない。

そんな弟ですら、やはりかわいい。私自信にとって尊い大切な存在だ。

 

この映画の松本穂香演じる姉から見た、弟、道枝駿佑演じる透の存在は間違いなくかけがえのないよき弟だ。あるシーンで弟自身の意思を受け取り、ヒロイン福本莉子さん演じる真織の日記を改ざんする作業を引き受けるシーンがあるが、日記を読んで改善するうちに、あまりにも尊すぎるその内容を見て、涙せずにはいられなくなるシーンに、私も涙した。

 

 

この作品は恋愛映画というより、家族の救済と、人間ドラマを描いた作品だと思えた。

 

 

それを、あざとくなく自然な形で、美しく、瑞々しく描く三木監督の手腕は流石だ。

 

 

三木さんは学生時代にSONYミュージック制作の中編映画『管制塔』でしり、

また新しい凄い人が出てきたと思ったら、

 

 

『ホットロード』という企画映画で少し冷めてしまい、『フォルトナの瞳』までご無沙汰だった。

 

 

しかし『フォルトナの瞳』が素晴らしかった(原作者の悪評で評価されずじまいだが、脚本は三木さん本人と、スタジオジブリ、スタジオポノックの文芸担当、脚色、脚本家、坂口理子さんだ)ので、手腕は健在だと思ったが、

 

 

 

これを見て完全に確信に変わった。

 

 

 

デビュー直後からその手腕はずっと健在。

 

健在していながら、15年現役。まだ15年。まだまだ新作をとれるのが凄い。世代で言えば1974年ということで、アニメで言う新海誠と同世代。この世代で映画界何かが変わって、10年近くたつ。

 

 

あとは福本莉子氏に気付くのが遅すぎた。世間が同じ三木監督の『管制塔』で橋本愛さんや山崎賢人くんに気付くのが遅すぎたように。(二人ともスターになってよかったです)

 

 

福本莉子さん瑞々しいうえに上手。道枝くんにも言える。あと古川琴音。凄く良かった。

 

 

2022年は今思い返しても全然映画見れない年だったが、これが真の一位になったなと確信に変わる。

  

 

けど、実際は興行収入はあまり芳しくなかったのか。

 



これは損しない大傑作だと思います。