さて、どうしようか。 喫茶店から出て行ってどうするか分からず十分ほど駅構内を巡回していた。監視カメラで見ている人がいるなら変質者だと思われるだろう。 そんなことはどうでも良い。 

 本当に自殺するのか?逃げの口実じゃないか? 僕は逃げたいんだ。あらゆるものを忘れて、遠く遠く遙か彼方、何処か遠くにゆきたい。その為だったらなんだってする。例え死んでも。なんて…出来もしないクセに。僕は死なないんだろうか。どうして生きてるんだろう。僕は何の為に生まれてきたんだろう。僕は何をしているんだろう。僕の名前は赤月だ。この名前はどこからきたのだろう。一体如何して生きてるんだろう。何を励みに生きてるんだろう。僕は何の役に立ってるんだろう。 色々考えつく限りの思考を錯誤していた。何か新しいヒラメキでも有ればいいのに。そうすれば救われるのに。それすら出来ない。僕は役立たずだ。本当に死んでしまいたい。特に何もしてないけど死んでしまいたい。僕に未練なんか無い。有るとすれば…なんなんだろうか。まだ家族ができてないってことだな。歌もしっかり歌いたい。大声で叫びたい。山奥で死んだように眠ってたい。怒鳴られたい。勇気を持ちたい。死んでみたい。生きてみたい。幸せになりたい。でも出来ない。僕は幸せになっちゃいけないんだ。僕は幸せになることは怖い。 赤月はとうとう同じルートで駅構内を回り始めた。いよいよもって警備員に恐れることを失くしたのだ。こんなことがあるもんか!しかし現実には存在した。

 

 赤月は妄想の中で生きていた。その妄想のなかで自分は東條だった。あの東條、あいつは凄い奴だった。 

 

 

 続く