短編小説

 

 

 

  血反吐を吐くような思いをしてたどり着いたのは教会だった。その教会には黒人、白人、東洋人、様々な人種の人間が居た。私は泣き出してしまった。何にそんなに泣いているのか分からなかったが、兎に角泣きたくなってしまって仕方がなかった。涙は止めどなく溢れて止まらない。1人の外国人が話しかけて来た。その人は黒人だった。「どうしたの?」その人は日本語で話しかけて来た。何故日本語なのだろう。そうだ!きっと頭がおかしいんだ!いやおかしいのは私かもしれない。私が狂っているのかもしれない。どうしよう、どうしよう、どうしよう!焦って涙が、汗が止まらなくなってついには叫び声をあげてしまった。

 

 「あぁあああああぁああぁああ!!」

その黒人が言う。

 

 「ごめん。驚かせるつもりは無かったんだ。ごめんね。本当に大丈夫?」

ウンウンと、しきりに頭を上下に揺らす。そのことで伝わるだろうと云う甘い考えのジェスチャーだ。

 

 「けど君は全然大丈夫に見えない!」

またその黒人が云う。告げた。私はどうかしているんだろうか。私は正常だ!大丈夫!みんな放っておいて!と、言いつつその黒人だけしか私に構ってはくれなかった。痛い!痛い!痛い‥。なんだか内臓が痛くなっていってっ‥。考えるのも屈するくらい五臓六腑から血が出てイル!!そんな気がした。

 

 「たすけて。」

また例の黒人が云う。

 

 「大丈夫だ。ここは天国だ。まぁ此処に来る人全員が大丈夫じゃ無いんだけど。たまに君みたいに拒絶症状が出る人がいるんだよ。」

 「アナタはニンゲンジャナイ!!!!」

私はまた叫んでしまいそうになった。とうとう狂ってしまったのか。分からなかった。

 「君には此処の空気は合わない。元いた世界に戻してあげよう。」

 「駄目!!止めてください。私はあそこには居たくない。」

私は涙や涎を流しながら必死に懇願した。その悲痛な有様に周りの人達が笑い出すやら、同情するやらで騒がしかった。

 「あぁ。でも君は此処に居ない方が良い。」

その黒人は無表情にしかし微笑を浮かべながら言った。その時1人の白人がやって来た。

  

 

 「君は人を殺したんだろう?」

 

真っ黒な目で問い掛ける眼には一切の光が失われていた。その時閃光の様に思い出した。「此処は地獄だった‥。」あの黒人が言う。

 「今更気づいたのかい?」

私は一切の希望を捨て絶望に縋った、、、。 

 

 

 

終わり