うぅっ‥‥、! 

 

 突然酷い嗚咽が聞こえた。 輝明が泣いているのだ。 

 

 「どうして!どうして!どうして知久が!息子が死ななきゃならなかったんだ!ごめんね、赤月くん‥。どうしても堪えきれないんだよ。気丈に振る舞ってきただろ?明るそうに見えただろ?全然!そんなことないんだよ。悔しくて悲しくて何がなんだか分からないんだ。ごめんね、本当に。泣き虫な親だね。でも言えば言うほど息子が、愛しい世界で1番の息子が帰って、帰って!帰ってきそうなんだよ。あの玄関から!ただいまって言ってくれるんじゃないかと!あの声が聞こえるかと!せめて!電話でも掛けて最後に!最後に‥。何か言ってやりたかった‥!知久の中に何か遺して遣れたら良かった!ごめんな、知久!ごめんな。何もしてあげられなくて!ごめんな。」

 

  激情に駆られたようにその人は泣き出した。嗚咽と滝の様に流れる涙が今まで我慢していた累積を表して居た。醜く歪むその顔には一体何が残るのだろう、どれもこれも意味がないように刺す体もないくらいに空虚な明日を見つめて泣き喚いて居た。その絶望には到底誰も想像は出来ないものが存在して居た。しかし彼は生きていた!美しく生きていた!突然の涙の嵐に動揺しつつ、冷静に赤月が言った。 

 

 「そんな、そんな、大丈夫ですよ。彼奴も、知久だって貴方みたいな親御さんがいらっしゃるだけで救われます。」

 

 結局その日はアルバムを見ずに帰ってしまった。

 

 

 

 続く