だから環境だね。環境。親が与えるのは環境と愛情のみだよ。そういう『ポスト』が必要なんだと思うよ。要は家族の責任だね。だから実の親子で無くとも本物の親子のようになれるんじゃないかな‥なんて本当に親がいない人の気持ちなんて分からないから言ってるだけだけどね。やっぱり血の繋がりも大事なのかなとかね。思うけどやっぱり私はそれが全てではないと思うんだ。そう、なんだっけかな、環境ね。だから知久のやりたいと思う様なことは可能な限りなんでもしていいというそういうスタンスだったね。な、美冴。子供が産まれた時によ〜く話し合ったんだよ。懐かしいなぁ。まそんなの今になっては必要ないがな。‥‥。まぁ兎に角だから子供のために会社員である私はよく働いたもんだよ。いやいけないね、つい老人の自慢話になってしまったよ。はは。老人だと自覚してるからいいんだよね。それでなくちゃいけない。我々はもう老人で未来に希望を託すなら子供達だ。子供達が世界を担っていくんだよ。だから過小評価してはいけない。いつだって子供達の頭の中には素晴らしい未来が描かれているんだ。そんな子供達を守っていくのが我々老人の義務であり、邪魔してはいけないんだよ。もう‥その子供も見れないがな‥。ああ〜いや本当にどうかしてんだか。いやにしんみりしちゃうね。ごめんごめん。すまなかったね赤月くん。」 

 「いや、そんなことないですよ。僕は両親は居ますが、そんなに仲良くも無いし‥寧ろ嬉しいと思いますよ。」

 「仲良くないのか。はは。まぁこれからは私達を親代わりと思ってくれてもいいんだ。もとより赤月くんが小学校の時からそのつもりだぞ。」

 「あゝ‥。まぁそうしときますよ。」

 「うん。こうやって自慢話しか出ないかもしれないけど、またいつでも来ていいから。何の用事なんて無くとも。赤月くんが来てくれれば知久だって喜ぶと思うし。なんなら泊まるか?」

 「あ〜それは遠慮しときます。」

 「冗談!」

輝明はしばしば顔を赤らめながら喜んで赤月と話していた。本当に新たな息子を見つけ出したと言わんばかりに嬉しそうに話すのだ。ニコニコしながら時折遠くを見つめる険しい表情が浮かぶ。それの繰り返しだった。

 「私が冗談を言う日が来るとはな!いや〜話し込んでしまったね。これが、愛する我が息子の知久のアルバムだよ。自慢のね!いくらでも付け足しておかねば気が済まない。」

 

 

続く