友達出来たー!って嬉しそうに言って帰ってきたと同時に赤月くんが家に来たことは憶えてるけど、馴れ初めとかは聞いたこと無かったのよね。この際根掘り葉掘り訊いちゃおうかしらね。」

 輝明がソファを離れてアルバムとホームビデオを持ってくるために居間を出た。 

 「大したことないですよ。ただ小1の時に席替えで仲良くなっただけです。最初は何故か僕のことを目の敵にしていて、本当に何故だか分からないんですけど、僕が授業中に手を挙げたりすると後ろの知久も負けじと『ハイハイ!』って手を挙げたり、先生に答えが当たってたら褒められたことがあってそのときなんかは『エコ贔屓です!こんなの誰だって分かるよ先生!』とか言ってたし、無意味なことしてましたよ。給食のときなんかは机をくっつけ合わせなきゃいけないじゃないですか。でも僕とは『弱虫が移る!』とかいって10センチくらいの間隔を空けられてましたね。でも体育の時になんだかよく憶えてないですけど、2人組を作るときどうしても知久と組まなきゃいけなくて、またあいつだやだなーって思ってたんです。案の定あいつもやな感じのオーラを漂わせてくるんです。『でも今日は機嫌がいいから許してやる!』とか言ってたんですよ。あ〜そうなんだーっと気楽に思ってて。そしたら柔軟?柔軟運動をしなくちゃならなくて知久が僕の背中を押してこう、自分の身体を2つに折りたたむって言うんですかね、マットレスの上で『イタイ!イタイ!』って言いながら伸ばしてましたよ。自分じゃ頑張ってるんですけどね、知久も結構頑張って背中を押してくれるんですけど、進まないんですよ。『これ以上進まない!進まない!ススメ〜!』なんて言いながら、でも僕の身体って硬かったんですね、ちっとも前に進まなくてそしたら知久が笑い出して、『お前、カタイな!』って言うんです。それでもって、『ごめん!いっつもクールっぽくしてるへんなやつだって思ってた。でも赤月くんもぼくと同じだね。』って言ってくれたんです。『これからつっきーって呼んでもいい?おれのことは親友のあかしとしてともひさって呼び捨てでいいからさ!』なんてあからさまに大名かってくらい偉そうに言ったんです。だから僕は『赤月様って呼んだら今までのぶじょくは許してやる。』って言ってやりましたよ。」

 「へぇ!そうなの〜。」

 

 

 

 

 続く