自分を捨てたい。どうぞ喜捨しよう。居なくなぁれ! 何処が、愛すべき世界なんだ‥。知久の葬式で赤月はこんな事を思った。

 

 四方10メートルくらいのホールに座る参列者は様々な面様で、皆んなが皆んな知久の知り合いで100名くらいが集まった。常識なんて持たなかった知久の知り合いや友達はかく言う故人に負けるべからず、髪色が派手だったがお洒落を着こなして黒々な服装をしていた。「どこで買ったんですか。」と訊きたくなるくらいのファッションの奇抜さがあったが、故人を尊重する意思は感じられるものだった。赤月は憎々しげに参列者を眺めていた。何処が!何処が愛すべき世界なんだ。何でもかんでも言えばいいってもんじゃないぞ知久!くそ。あいつあのまま死にやがって!くそ。彼奴の成功何一つ拝めて無いじゃないか。約束破りやがって。何処が一途なんだ!フラフラじゃないか!よくも人生とか世界とか説教しやがったな。この世から呪ってやる!侮蔑を撒き散らしながらなんだか涙が滲んで堪らなくなって仕舞った。くそ!涙なんか流すなよな。なんで泣けてくるんだろう、、、。泣くな泣くな。赤月はだんだん頬を真っ赤にしてずるずる鼻を垂らしどうしようも無くなってしまった。まだ葬式が始まってもないのにこんなに泣いてる奴が在るだろうか。今更泣いてないなんて誤魔化しが効かなくなったのだ。両親よりも泣いている!根性無しめ!正しだ、この場では優者と呼ばせて貰おう。 

嗚呼、件の話ではお世話になりました。内勤です。 

 

 

 

 弔辞が始まった。 

 

 

 

 

 続く