一か月を過ぎて。
生活に慣れて、余裕が出来てきた頃。
ある休日の午後に、家の周りを散策した。
自分が住んでるマンションはちょっと都会的で。
田舎に住んでた自分にとっては、冷たく感じて。
歩いて、いろんな道を通ってた。
路地を何本か行ったら、車が良く通る表通りと違って、静かな住宅街があった。
真っ直ぐな道、左右には綺麗な家が建ち並ぶ、新興住宅街。
雨上がり、綺麗な空の下。
知らない道をどんどん歩く。
その先に。
一軒の家のフェンスから、濃いピンクの八重咲きの薔薇。
昔、俺の家にもあったなぁ。
フェンスから飛び出した薔薇を自分の鼻先に持ってきて匂いを嗅ぐ。
ん、やっぱり。
俺は自然と笑ってしまった。
昔から知ってる甘い香り。
その時、庭に若い男の人がいるのに気がついた。
俺は慌てて、
こ、こんにちは、
、見られてた?
、、、恥ずかしい、、、。
その男の人は、にっこり微笑んで、
花、お好きなんですか?
え?いや、あの、
よかったらあちらからどうぞお入りください。
その人は、表玄関から庭へと誘ってきた。