年末、うちに来る前からもう私達は知ってたの。お兄ちゃんの病気の事も、チャンミンさんの事も。
お兄ちゃん、チャンミンさんには知られたくないって。自分の苦しむ姿を、絶対見せたくないって。
生前に手紙を何通も一生懸命書いてた。手紙を書くのも大変な時だってあったのに。前もって何通も何通も。
季節感もないとりとめのない手紙だったでしょう?自分はもういない時の手紙って書くのに苦労するわよね。
手紙を出すのも大変だったのよ。いろんな所に住んでる友達に頼んで投函してもらって。
あ、そうそう、手紙の前のお土産も大変だったわ。入院が決まるとネットでお取り寄せ頼んで病院に届けられるようにしてたみたい。
仕事の段取りもギリギリまでしてたの。今までの作品もあるけど、まだ何冊かはお兄ちゃんの挿し絵が載ってる本が出るみたい。
お兄ちゃんの作品、全て著作権はチャンミンさんになってるから、多少、財産もチャンミンさんに残せたと思うわ。
、、、直ぐに知らせなかったのはね、お兄ちゃんが一生懸命書いた手紙を、全てチャンミンさんに渡したかったから。だからバレないようにするの大変だったの。だってチャンミンさん、お兄ちゃんの為に、本当にお料理習いに来るんだもん。焦ったわ。もういない人の為だし、私達もお兄ちゃん思い出して泣けてくるし。、、、あの時、野菜ばっかりの食卓だったでしょう?お兄ちゃんに消化のいい物をと思ったらそうなっちゃって。チャンミン、お肉が好きって聞いてたのにごめんなさいね。お兄ちゃん、チャンミンさんが何か言ってきたら快く受け入れてやってくれてって。繋ぎである自分はいなくなるから、必要以上に仲良くしてくれとは言わないけど、チャンミンが来たら優しくしてやってほしいって言ってたの。
話が逸れてしまったわね。
、、、最後の手紙になったから、今日はちゃんとお知らせしておこうと思って。
私達もね、チャンミンさんに酷な事をしているとわかってる。お兄ちゃんも、私達にも酷な事を頼んでるってわかってたから、何度もごめんなって言ってた。
、、、お兄ちゃんね、1年くらい経ったらチャンミンさんも自分がいない生活に慣れてるだろうって。だから出来るだけ長く旅行している事にしてほしいって。お兄ちゃんの意思だったの。
最後は私達家族で看取ったわ。
お父さん、お母さん、ジヘ、ごめんな、ありがと、愛してるよって。
最後に、
チャンミンって。
もう声には出さなかったけど、口は動いてた。
言っては駄目だとわかってるけど、お兄ちゃん、ごめん、私、言うわ。
チャンミンの続きの言葉。お兄ちゃんの最後の言葉。
「チャンミン、愛してる」
少し微笑んだ、安らかな顔だったわ。