本日の出先



曇天の中の浅草橋あたり


色々な問屋がひしめく地帯、しかし今日は祝日、閑散としています。


少し歩くと日本橋エリア、かつては呉服屋の問屋街に

あるビルで


総決算

呉服展示会


のポスター発見、もちろんヒヤカシで入ろうとすると

どうやら、お得意様をアテにした会らしく、受付で


担当はどちらで?


と聞かれ、もちろん縁の無い店だから担当なんていない


で、ふと、先日この店の支店を同じくヒヤカシで入り


博多織の反物

博多織の角帯


を不覚にもヤッチまう寸前で正気に戻り、店を無傷で出た店の本店開催との事で、支店で買いもしないのに博多織の展示会に行ったと吹聴し、その時に渡された店員の名刺を持っていたので、受付に出すと


しばらくお待ちください


と困った様子、が、奥からイカニモ昔風の番頭じみた老齢の男性が商売スマイルで


ササどうぞ


と言われ、自ら誘蛾灯に入るバカな蛾の様に、絢爛豪華な着物、反物が溢れる場内に入りました。 


すると、あらんことに先日の支店で私にお見立てをした

和服姿の「先生」と呼ばれる和服の中年女性とばったり会いました。


「貴方、この前のはどうされたの?」


「買いませんよ未練はありますがね」


「今日は京都の織元さんのお召しがあるから、着てごらんなさいよ」


博多織の次は京都の織元


で、最近開発されたグラデーションに織られ染められた

演歌歌手の衣装か?の様な


雄孔雀みたいな色のモノを着たら


まあ、似合うに決まってますな、こいいうものは


と一人悦に入っていた所、知らぬ間に鏡の周りに


店員達がずらりと私を囲む、そして口々に


誉めそやされる


ウッ!またもや


落としにかかられているっ!


で、私は「先生」といわれる人に


「コレもいいけど、前に着せてもらったやつの方が好みですね、先生もそう思うでしょう?」


と牽制


先生はニヤニヤしてから


「今日もね博多の織元さん来てるのよ」


と獲物を仕留める猛禽類みたいな目で言います。


ウッ!


そして、博多の織元も参戦?し、買逃れた品物を探すなどと余計な事を言うのです。


そこに番頭が計算器を出してきて、京都のお召しの値段を提示しました


35,000円


えっ?


と声に出したら番頭は


はい、三万五千円を三年でいかがでしょうか?


・・・。


私はバカですが、三万五千円×三年くらいの合計は

ボンヤリとイメージできます。


元値は四百万弱


なんなんだこの得体の知れない価格設定


と薄気味悪くなり


「私は前に見た博多織の方が好きです、こちらの先生とは今日で二回目の出会い、もし先生に三回目、何処かであってあの反物がまだあったら


三度目の正直で泣いてタヒにます」


と言い、展示会の会場を後にしたのでした。


お馴染みでは無い呉服屋になど行くものではありませんね。