コロナ禍より、久しぶりに


鬼才

マシュー・ボーン


のカンパニーが来日公演


で本日マチネの公演を観に行きました。




演目は


ロミオとジュリエット


マシュー・ボーンの舞台は


心して観ないと心が蝕まれる


しかし、かつて観た


眠れる森の美女

シンデレラ


は、マシューボーンのくせに


ハッピーエンド


心温まる


しかし


白鳥の湖

カーマン


いずれも、後々にトラウマになる魘される内容でした。


この度のロミオとジュリエットはいかに?


原作は甘く切なく悲しい恋の物語


しかし、幕が開いた途端に


白の世界と黒の世界?


登場人物


ひとりも正気の人がいない


ジュリエットは儚いイメージがありましたが、この度は


ガタイのよいジュリエット


マシューボーンのキャスティングはいつも


多様性


人種や体型は様々であるのも私が好きな所です。


コンテンポラリーにおいて、手足を伸び伸びとさせず、

拳を握ったり、足をフレックスの形にする所作は


何かによる拘束の表現の形


様々な病んだ若者がソノ所作で舞い踊ります。


中に多分、中年世代で体重が90キロはあるであろう、悪役が登場するのですが


舞台装置、私が確認できたかぎり、急階段が四つ


巨体で軽快なステップをこなし舞台を駆け回り階段を上り下りする


私的には「あの人、膝とか腰とか大丈夫だろうか?」


と心配になりました。


何かを抱えてしまっているテイのキャスト達は、身体を捻ったり、前転したり、頭を抱えたり、ジャンプも回し蹴りか?という動作


格闘技の技、組み手の様に見え


ルチャ・リブレ?


まるでプロレスの試合を見ている様な気持ちになりながら、ストーリは


暗黒で残酷

病みに病んでいく


ロマンチックのかけらもなく極狂気の沙汰


ハンニバルの領域に達してからの


ホラー&スプラッター


と化していく


原作のスイートさは1ミリもない


ラストは血みどろのロミオとジュリエットが舞い狂う


私の背筋が凍ったのは、血まみれのロミオが死すシーン


ダンサーが巧みスギる


突然の全身脱力


本当に逝ったのかも?と本気で思いました。


そしてこれは原作と同じで


ロミオとジュリエットも死んでしまう。


浮かばれない内容でグッタリ


しかし


恐ろしいほどに美しい舞台でした。



カーテンコールでキャスト陣が笑顔で観客の惜しみない拍手を受けているのを見て


ああ、これはオハナシだったのだ


と現実に戻る事ができて救われた様な気持ちになりました。


帰り際に、まるで、今、世の中で起きてしまっている、忌まわしい事件をバレエという舞台で見せつけられた様な気持ちになったのでした。