團十郎白猿さんファミリー「平家女護嶋」 | お気楽マーニャのブログ

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東銀座、新橋演舞場での、初春歌舞伎公演「平家女護嶋(へいけにょごのしま」、8日、夜の部に行って来ました。





まず、市川右團次さんが登場して、登場人物の説明やあらすじを、ざっと解説。舞台には大きな登場人物の相関図が。今回のように、團十郎白猿さんか、何役も演じられる場合、このような相関図の提示や、あらすじの解説はありがたいですねー。(歌舞伎座では無理でしょうが。)


右團次さん、血の繋がりはないのに、市川猿翁さん(先代の猿之助さん)に、よく似ていらっしゃるわー、と感じた。解説は流暢でなくてもいいから、ゆっくり分かりやすく言って頂くと、有難いです。
最初の幕は、俊寛。能登守教経役の中村児太郎さんが、凄くいい。台詞が明瞭で、美しい。光源氏役も出来るのでは?!と思ったわ。児太郎さんの、もう一役、腰本白菊は、安定の演技だけど、あと五キロお痩せになっては如何かしら?せっかくの美貌が勿体ない。俊寛の妻、あづまや役の片岡孝太郎さん、平清盛に言い寄られ、操を守って自害するのですが、えっ?この場面だけ?勿体ない、と思っていたら、後で、思わぬ形で登場。それは観てのお楽しみです。

團十郎白猿さんの俊寛を拝見するのは、二回目だと思う。前回は、海老蔵さんの時。この地味な演目と、華やかな團十郎白猿さんのイメージでは、ミスマッチと思うのですが、これがいい味なんですよねー。不思議なことに。運命に見放された、俊寛の哀れさが、切々とこちらに伝わって来ます。「俊寛」ってつまらない演目、とずっと思って来たけど、これは、名作ゆえに、俊寛らしい型にはまった演技が代々受け継がれて来たからかしら?吉右衛門さんのように人生を感じさせる深い演技までたどり着くのは至難の技。團十郎白猿さんの俊寛は、型ではなく、リアルな感情表現だから、緊張感があって、ドラマティック。幕間、ロビーで、「鬼気迫ってたなー。」と感想を仰っている男性の方がいらっしゃいました。俊寛っておじいさんに見えるけど、妻が清盛に言い寄られる位だから、老婆ではなく、まー、熟女どまりでしょ?!よって俊寛もお爺さんではないわよね。島での苛酷な生活で老けたとしても。千鳥に譲り、自分は乗らなかった船を見送るラストシーン。登った岩が、なんと舞台中央まで移動。画期的。お陰で、移り行く俊寛の表情を、じっくり正面から拝む事が出来ました。絶望と、未練。そして諦め。最後は、これで良かったのだという、穏やかな微笑み、とお見受けしました。背景の波も綺麗だったわー。
丹波少将成経役の九團次さん、お品良く、手堅い演技。
次の幕、「朱雀御所の場」は、歌舞伎公演では、200年以上ぶりの上演だそうです。女童笛竹役で出て来た、市川新之助君、を見た時、玉三郎さんの後継者現る!と息を飲んだわー✨!可愛いだけでなく、儚く、憂いをおびている。七之助さんも、右近さんもお綺麗で、魅力的だけれど、玉三郎さんの持ち味とは違う。人間離れした、透明感、神秘性。成田屋の荒事だけでなく、将来、八百屋お七や、鷺娘もやって頂きたいわー。成田屋だけでなく、歌舞伎界の繁栄を考えて、カンカンの無限の可能性を広げて欲しいと切に思います。笛竹、実は源牛若丸。母親の常磐御前役に、團十郎白猿さん。わたし、團十郎白猿さんの、女形好きなんですよねー。ひょっとしたら、助六より好きかも。女性らしいというより、女性と男性が共存する、両性具有の姿。逞しくもあり、母性愛もある。実際、私生活でも、お母さんの役割もなさっている團十郎白猿さん。細やかな気遣いが自然です。


実盛(團十郎白猿さん)の娘、ひな鶴役のぼたんちゃん。惚れ惚れする美しさ。小学生でありながら、襟足の色っぽさは、天性のもの。所作も凛として美しい。こんなに沢山彼女の台詞を聴くのは、私は初めて。気張らなくても、良くとおる、張りのある声。沢山お稽古をしたあとが伺える。彼女を見詰める、團十郎白猿さんの目が優しい。これからが、益々、楽しみです。すでに立派な役者さん。


ラスト、牛若丸として、馬に乗るカンカン。馬がかなり暴れるのに、しっかり安定姿勢の新之助さん。乗馬の素質があるのねー。会場にも雪、舞台にも大量の雪。初春にふさわしい豪華な幕切れでした。薄いブルーのお着物が良く似合った團十郎白猿さんの三番叟も拝見できで、辛いことが多い年明けだけれど、気持ちを束の間、晴れ晴れとして頂きました。舞台がはねてから、出待ち。「寒いから出待ちよそうかと思ったけど、舞台がよかったから、やっぱり出待ちするわ!」と仰っている方も。出待ちしていつも思うことは、新之助さんも、ぼたんちゃんも、本当に幼い小学生。広い舞台と会場を支配するきらびやかな姿とのギャップに驚かされます。疲れているのに、沢山手を振ってくれてありがとう😆💕✨。出待ちまでが、観劇ですね。