小説、海辺のカフカ来週の公演チケットをゲットしたので、その前に予習で読むことに。佐伯さんは、宮沢りえさん、大島さんは、藤木直人さんと知ったうえなので、お二人のイメージしかわかなかった。それにこの役、お二人ともぴったり。村上春樹は一時、続けて読んでいたけど、かなりお久しぶり。やっぱり面白い。小説のストーリーよりも、文章のあちらこちらに散りばめられた、村上氏の知性と知識に触れる悦びがある。いろいろと解釈出来るストーリーね。読者の判断力に任せるために、わざと不明瞭な物語にしているのかしら。二度、三度と読み込んで行けば、印象は変わるのかもしれないけれど、私は、佐伯さんは、やはりカフカの母親だと思った。カフカは、20才で殺された佐伯さんの恋人の生まれ変わりでは?輪廻転生。恋人だった存在が、今度は息子としてこの世に生まれ変わる。しかし、前世の記憶は頭の片隅に残っていて、50才の佐伯さんの中に、少女だった頃の彼女の姿を見つけ恋してしまう。佐伯さんにとって、カフカは、幼くして生き別れた息子であり、自分の分身であったかつての恋人でもある。恋人であれば、あの世で共に過ごしたいけれど、母親としては、息子に生き続けて欲しい。よって蓋が閉まる前に送り出す。私の勝手な解釈ですが、、、。架空の世界だけでなく、現実の社会にも邪悪なものが住み着いている人間はいるわね。そしてナカタさんのように善良で、自己が確立していない人間に巧みに近付いて、操ろうとする。威嚇したり、褒めあげたり、泣き付いたりいろいろな手を使って。なかなか、人間の本性を見抜くのは難しい。邪悪な人と接していてもその時はわからないことがある。でも別れた後で、なんだか体と心がどっと疲れるのよね。たいした話しはしていないのに。そう感じた時は要注意と思ってます。人間の制御出来ない様々な欲について書かれているけれど、何が我慢出来ないかは、本当に千差万別。持って生まれた業はどうしようもない。自ら断ち切ることが出来ないなら、人の手を借りなければいけない。カフカのお父さんのように。村上氏の冷徹で慈悲深い人間観察。村上氏の本で最後に読んだのは、河合隼雄さんとの対談。穴に落ちるという感覚についての解説は納得させられたわー。舞台楽しみ