ピカピカに光ってる。主役のオーラ半端ない。この存在感は外見だけでなく、彼の充実した中身から来るものだと思うわ。人間性。映画の展開は、同じ時刻で、視点を変えて繰り返し同一場面を展開する。この手法は、大林宣彦監督の、『時をかける少女』を思い出させる。中、高時代は、勉強よりも、背が高くて、足が長くて、運動が出来る男の子が一番モテるわよねー。宏樹をそっと見る吹奏楽部の亜也。このタイプは怖いー~
ストーカー気質。おとなしそうで、我が強い。女友達でもなりたくないタイプ。運動も勉強もできて、ルックスもいい、華やかな学校の人気ものを、こっそり慕う。映画、『追憶』を思い出した。東出君はレッドフォードで、亜也はバーブラストライサンド。勿論、『追憶』は、人種問題や、階級制度、価値観の違いなど、複雑な要因が絡みあっているけれど、いつの時代も、人は自分にない物を求める。映画部の前田とかすみもそう。別の宇宙に住んでいる二人だけれど、心の底では、理解しあえるものがある。

映画館での場面。少しだけれど、心が触れあってどぎまぎの前田。かすみちゃんの隣に恥ずかしくて座ることも出来ない。名場面だわー~。レッドフォードとバーブラが、カフェのテラス席で偶然会って、初めてお互いの小説について話す場面みたい。前田役の、神木隆之介さんの素晴らしいこと、素晴らしいこと。


セリフの間や、表情、仕草、やり過ぎるこなく、前田に成りきっている。これって、断然主演男優賞でしょ?!

もうひとつの名場面は、屋上での、前田と宏樹。この二人も、クラスメートでありながら、別の宇宙に住む生命体。



宏樹にとっては、前田は、透明人間のようなもので、言葉を交わすことなんて思ってもみなかったのに、レンズの枠のお陰で、偶然歩み寄る。ちょっとした好奇心から、八ミリカメラについて聞いただけなのに、前田のある種の自信に満ちた、信念のある発言に打ちのめされ、敗北感を感じる。作者の意図は知らないけれど、私はそう感じてしまった。親友と思って信頼していた桐島からは、何の連絡もない。自分は何でも出来るが、何もしていない。情熱も達成感もない。前田にやっぱりかっこいいね!と言われても、恥じ入るばかり。そして最後桐島に電話をかける宏樹の後ろ姿は、不安と孤独で満ちている。私の勝手な解釈だけれど、この映画面白かったー~。今の時代を象徴して、いつまでも語り継がれる映画ね。学生時代は、みんな残酷。大人になれば、本心を隠す術を学ぶし、ここは自分の居場所でないと判れば、1日でドロンすることも出来る。学校はそうはいかない。前田の、ここで生きて行くしかない!という言葉、重いわー~。