「無伴奏」 | Kyoto Corgi Cafe 2

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Kyoto Corgi Cafe 2 小池真理子の「無伴奏」を再読しました。5年前に読んだ時、情景がリアルに浮かぶ描写の上手さが印象に残り、とても好きな作品でした。久々に読むと最初は 意外と普通・・と思ったんですが、渉たちの下宿が出て来るあたりからはやっぱり表現が絶妙。それもそのはず、彼女にとっても思い入れの強い作品だったよう です。
舞台は1960年代後半の仙台。当時実在したクラシック喫茶「無伴奏」で出会った男女を描いた物語。学生になった頃にはビートルズも学園紛争も過去のものになっていたモモ母は、遅れてきた世代と言われることがあり、社会を変えようと真剣だった当時の学生がちょっと羨ましかったりもします。で もこの小説を読むと、学生運動も白と言われれば黒と言いたいだけの小娘がかかるハシカみたいなものだったのかもね、なんて。18歳のガールフレンドの誕生 日にクラシックレコードを贈るなんて時代を感じるし、物語の核心部分も身近に起これば今も衝撃的なのかも知れないけれど、もはや受け入れがたいものではな くなっていて、60年代が遠い昔であることを実感します。でも、モモ母はこの小説の世界がやっぱり好き。こんな街でこんな空気を味わいながら10代を送り たかったなぁと思うのです。遅れてきたモモ母がこんなに愛おしいんだから、その頃を仙台で過ごした人には堪らなく懐かしい作品だろうと思います。主人公の同級生や友人達だけでなく、叔母さんや飼い犬のモグまで当時はそこにいたような気分になって、読んでる時間がとても楽しかった。ちなみに最後はモモ母が 通った高校近くに出来たカフェで読み終えました。