米大リーグ・ドジャースの大谷翔平は今季、1本差で3年連続本塁打王こそ逃したが、55本は昨季の54本を抜く自己最多の本塁打数でした。ポストシーズン(PS)でも17試合で8本と、量産しました。なぜ、本塁打数を増やすことができたのかを、データから見てみたいと思います。

 55本塁打のうち、昨季は3本しか打てなかった内角低めのストライクを、今季は8本と、3倍近く放つことができました。

 実は、初めて本塁打王になったエンゼルス時代の2023年も、前年まで苦手としていた外角高めを克服し、日本人選手初のタイトルを獲得することが出来たのです。1球ごとにデータが計測されて攻略法が練られる時代に、相手バッテリーの「大谷封じ策」を上回っていく研究心と、克服する努力がうかがわれます。

 9つに分割して、今季の「コース別本塁打数」を見ていくと、高めは内角1、中は7、外角3。真ん中は内角6、中は9、外角9。低めは内角8、中は7、外角0。来季は「内角高めと外角低め」の克服が求められます。

 一方、球速95㍄(約153㌔)を超える速球の対応力も上がりました。23年が4本、24年が5本だった本塁打数が、今季は14本と、昨季の3倍近くに増えたのです。

 今季は、バットを約1.3㌢長く、約14㌘重くした大谷。当初はしっくりこなかった様に見えたが、次第に感覚をつかめ、「自分の力で目一杯振らなくても、自然にバットが仕事をしてくれるシンプルな打ち方を習得できた」と見えましたーー。

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 1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。