12日(日本時間13日)にサンフランシスコのオラクル・パークで行われた米大リーグのジャイアンツ対ドジャース戦は、ドジャースの山本由伸投手とジャイアンツのジャスティン・バーランダー投手がともに7回を1失点と好投しながら、打線の援護がなく、勝利投手とは成れませんでした。
投手にとって、「勝利数」は、かつて評価の第一とされていましたが、投手の分業制が進み、投球数100球前後で交代する大リーグでは、勝利数より、防御率や奪三振数が投手の評価を決める数字に変わってきたようです。
山本は、7回投げて投球数91、被安打1、奪三振10、与四球1、失点1のほぼ完璧な投球でした。さらに前回登板は、九回二死までノーヒットノーランを続けて3ー0とリードしていたが、ここでソロ本塁打を浴びて交代。リリーフ投手が一死も取れずに逆転負けを喫しました。その前の試合も7回投げて4安打1失点の好投ながら、勝利投手とは成れませんでした。
このように山本は「勝利投手の権利」を得ながら、結果的に勝ち星が付かなった試合が今季は多く、11勝8敗に止まっています。
現役最多の265勝(157敗)をマークしているバーランダーも、今季の成績は3勝10敗だが、勝利投手の権利を得て交代しながら、結果的に白星が付かなかった試合が10試合近くもあります。
パイレーツのポール・スキーンズ投手も、防御率1.92、奪三振数203は、ともにナ・リーグ1位ながら、10勝9敗と、勝利数は伸びていません。同リーグ中地区最下位というチーム事情が勝利数が増えない理由だが、同リーグのサイ・ヤング賞の最有力候補にスキーンズの名が挙がっているのも、「勝利数より、防御率や奪三振数」が評価されている証拠と言えそうです。
かつては「投手のリズムが悪いから打線の援護がない」などと言われたこともあったが、「勝利投手の権利を得た後に、リリーフした投手が打たれた」のでは、先発投手のリズムが良いも悪いも関係ありません。
日本では沢村賞やMVPの選考に、「勝利数」はまだ重視されているが、投手の分業制が大リーグのように進んでいけば、いずれ「勝利数より防御率、奪三振数」が投手の評価に変わっていくでしょう。
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1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。