第107回全国高校野球選手権大会が5日、甲子園球場で開幕したが、これまで午前中だった開会式と開幕戦が、酷暑対策のために史上初めて夕方に行われ、選手からは好評を得たようです。

 前回大会では、初日を2部に分け、午前の部で開会式と開幕戦を実施。午後4時から第2試合を始めた結果、第3試合終了は同9時36分までずれ込みました。この終了時間の遅さ以上に問題とされ、選手に不評だったのが「早い時間に起きて、夕方や夜の試合に臨むことで、コンディション作りに苦労した。一度ホテルに戻ってからの試合は大変だった」という、再開後に試合をしたチームからの声でした。

 「開会式は朝早くから行うもの」、「昼間が酷暑なら、涼しいホテルに戻って、再度甲子園に向かって試合をすればいい」という「大人の頭で考えただけの発想」で事を進めることが、いかに選手に負担を強いたのか、ということです。

 話は変わるが、大谷翔平(ドジャース)の「投打二刀流」復活のために、チームは当初、試合前の練習時に実戦形式の投手として大谷に決められた投球数を投げさせる方法を取りました。大谷が打者としてメジャーの試合に出場中での実戦登板は、マイナーで投げることが出来ないための方策だったと思います。

 しかし、大谷本人から「試合前に実戦形式で投げて、その後メジャーの試合に出場するのは身体的にきつい。それなら、1イニングでも2イニングでも実際の試合で投げた方がいい」との意見が出されました。このため、チームは大谷の考えを取り入れて「メジャーでの登板」を採用、現状ではこれが成功した形になっています。

 「開会式は朝早くから」、「暑さ防止のためにホテルに戻ってから」、「故障から復帰の投手の試投はマイナーで、無理なら練習で」という、「選手ファースト」を考えずに大人の発想で決めた事は、選手の負担を増すことにつながったようです。甲子園も大谷も、「やり方」が変わったのは「選手のことを第1に考える」ことの欠如だった気がします。

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 1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。