巨人は7日の楽天戦で、長嶋茂雄さんが亡くなってから初めて勝つことが出来ました。しかも、2000年に当時の長嶋監督が感激の涙を流した本拠地の東京ドームでの勝利でした。涙を流したのは、王貞治監督が率いるダイエーとの「ON決戦」が初めて実現した日本シリーズでした。
 巨人の監督を一度退いた2人が、再びユニホームを着ました。1993年に巨人に復帰した長嶋監督に対し、王監督は95年にダイエー(現ソフトバンク)の指揮官に。この時、「日本シリーズでON対決出来たら面白い」と、ミスターは思ったと言います。
 しかし、95年以降、巨人は3位、優勝、4位、3位、2位。ダイエーは5位、6位、4位、3位、優勝。「ON対決」はなかなか実現しません。それでも、99年は巨人が2位で、ダイエーが優勝し、2000年は両チームとも戦力的に充実していたために、開幕前の優勝予想では、「セ・リーグは巨人、パ・リーグはダイエー」が有力でした。
 実際、巨人は6月15日に首位に立つと、その後、一度も2位に落ちることなく、9月24日に4年ぶりの優勝を決めました。一方、ダイエーは8月終了時点で首位に3ゲーム差の3位で、9月、10月に頑張れば優勝できる位置に付けました。そして、10月7日、福岡ドームでのオリックス戦に勝って、2年連続リーグ優勝を決めました。
 いよいよ「ON決戦」です。長嶋監督は、松井秀喜が1949年の川上哲治以来の「巨人の4番としてフルイニング出場」を果たしてのリーグ優勝に手応えを感じており、「ON対決」にも自信満々でした。王監督も前年、監督として初の日本一を達成し、「長嶋巨人を破っての連覇」に意欲満々でした。
 結果はダイエー2連勝の後、巨人が4連勝で、長嶋監督に軍配が上がりました。日本一の胴上げから、すぐのミーティングの席で、長嶋監督は思わず涙を流しました。74年の現役引退セレモニー以来の涙でした。それほど、「ON対決」を制した感慨は深かったようですーー。
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  1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。