関西学生野球連盟は5月末の理事会で、来春のリーグ戦から指名打者(DH)制を採用することを決めました。全日本大学野球連盟に加盟する27連盟のうち、関西学生と東京六大学の2連盟だけが採用していなかったが、東京六大学は今年4月に来春からの採用を決定。これで全27連盟で採用されることになりました。

 DHが初めて野球で採用されたのは、 1973年に米大リーグのア・リーグで。過度な投高打低状態にあった同リーグでは、当時の12球団のうち9球団が年間観客動員数が100万人を割る事態に陥っており、商業的な理由で採用を決めました。

 ところが、投手が打席に入ると「緊迫感が失われる」という批判が消え、守備には難点があるが、打者では超一流という「DHのスター選手」が現れるなど好評で、76年からワールドシリーズで隔年で行われるようになりました。ナ・リーグでも2022年から採用となり、大谷翔平のア・リーグのエンゼルスからナ・リーグのドジャースへの移籍の一因ともなりました。

 日本では高井保弘(阪急)が代打で多くの本塁打をマークし、「あれだけの選手が代打出場だけではもったいない」という声と、人気低迷に喘いでいたパ・リーグが、ア・リーグの成功を参考に 1975年から採用。日本シリーズでは85年から採用しました。

 アマチュア野球では、国際大会で多くが採用したこともあり、社会人野球が都市対抗野球で89年から、大学野球では全日本選手権で92年から、東都大学で94年秋から採用し、今回の決定で全27連盟での採用となりました。高校野球でも、来春のセンバツからの導入の検討を始めました。

 もし、高校野球でも採用となれば、「世界の野球界で不採用はプロ野球のセ・リーグだけ」となります。ア・リーグが採用してから半世紀以上経ち、ほとんどの野球大会、野球連盟で採用のDH制を、セ・リーグも導入する時期が来たと思います。

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  1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。