米大リーグに倣って先発、リリーフと投手陣の分業が確立してきたプロ野球。そんな流れに逆行するように「先発完投志向」の投手起用を見せているのが、パ・リーグ首位を走る日本ハムです。

 23日の楽天戦で金村尚真が今季3度目の完封勝利を飾って、チームの完投数は両リーグ断トツの「10」まで増えました。2位は広島の5完投だから、差は2倍に開いています。パ・リーグではオリックスの4完投が続くが、ソフトバンクとロッテは完投ゼロとなっています。

 日本ハム投手陣の完投数は、金村の4回を最高に、伊藤大海と北山亘基が各2回、山崎福也と古林睿煬が各1回となっています。

 かつては、「先発投手は最後まで投げるのは当たり前」と言われ、斎藤雅樹(巨人)は1989年、プロ野球記録の「11試合連続完投勝利」を達成しました。

 しかし、完投試合は、投球数が120〜150球前後になることが多く、肩や肘を故障する投手が出たこともありました。

 こうした過去の経験も踏まえ、新庄剛志監督ら首脳陣は、「無理させないこと」を徹底しています。先発陣が長いイニングを投げることを可能にしている背景には「ゆとりローテーション」があります。

 先発ローテーションは、金村、伊藤、北山、山﨑、古林に加え、加藤貴之、達孝太、細野晴希の8人態勢で、中7日以上の登板間隔で回すことがほとんどです。これによって、実績がある投手だけでなく、若手の成長株たちも実戦で投げるスタミナを付けてきました。

 「先発完投」が多い日本ハムと、他の球団の間で、シーズン終盤にどんな結果が待っているか、興味津々です。

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  1984年の王監督の時代から 、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。