第97回選抜高校野球大会は30日、決勝戦が行われ、横浜(神奈川)が智弁和歌山(和歌山)を11ー4で破り、19年ぶり4度目の優勝を遂げました。両チーム合わせて15得点が象徴するように、低反発バットの導入から1年がたち、各校に得点力が戻って来たようです。
昨年と今年を比較すると、全ての打撃成績で、今年の方が上回りました。安打数は453本→541本。本塁打数は3本→6本。二塁打と三塁打合計は78本→92本。得点は200点→285点。
背景には、選手や指導者の低反発バットへの向き合い方の変化があります。どのチームも例年以上のバットの振り込みやウェートトレーニングを冬季に行ったといいます。花巻東(岩手)は、4月からウェートリフティングの女子日本代表監督に就任する冨田史子さんのアドバイスを受けながら、身体の連動性や瞬発力などのトレーニングに励んできました。
優勝した横浜は、低反発バットの導入で打撃のスタイルを変えました。チームとして徹底したのは「打撃角度30度のライナー性の打球を飛ばす」ことを徹底しました。3番・阿部葉太主将は、大谷翔平(ドジャース)を参考にしたノーステップ打法に変えるなど身体の使い方も見直し、鋭い打球を飛ばすために試行錯誤した結果、決勝戦では5打数4安打3打点をマークしました。
長打も外野の頭を越える飛球よりも、外野の間を抜くようなライナー性の打球が多かった印象がありました。大会を視察したUー18日本代表の小倉全由監督は「各校が打撃の基本に立ち返り、バットの使い方が良くなった」と話しました。
こうした取り組みが全国に広がり、高校野球全体がレベルアップしていくことを期待したいと思います。
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1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。