夏の高校野球の地区予選は、7月の限られた期間に集中的に行われるため、どの都道府県も球場確保に四苦八苦しているのが現状です。そんな折り、東・西東京大会では、今年からジャイアンツタウンスタジアム(3月1日開場、東京都稲城市)でも試合が開催されると、このほど決まりました。
東京都高校野球連盟によると、大学や社会人野球の試合との競合などがあって、東西の両大会とも球場の確保には頭を悩ませています。特に東大会では球場の閉鎖などもあって苦慮していると言います。
主にプロ野球・巨人の二軍の試合が行われるジャイアンツタウンスタジアムは、高速で排水できる人工芝や照明設備が備わっているため、「雨天後や夜に試合が延びても対応できそうだ。使える球場が少ない中、プロの球場で試合ができる意義は大きい」と、都高野連の根岸雅則専務理事は歓迎しています。
神奈川県でも、昨夏は12球場を会場にしたが、球場によっては他のイベントの予約が既に入っていて試合を組めない日も出るなどしたため、1日の試合数を増やして対応せざるを得なかったそうです。
埼玉大会でも予備日の設定に難航した球場もあったと言い、同県高野連の担当者は「高校野球が優先して使えるわけでもないので難しい」と話します。
球場が老朽化しても、建て替えや補強する予算が財政難のために組めないことも、多くの都道府県や市町村で起きています。
一方、選手の熱中症対策として、予選期間中の休養日をこれまで以上に設けたり、酷暑時間帯の試合を避けるという甲子園の全国大会の流れが、地方予選でも広まってきています。
高校野球は、「7イニング制の導入」など、大きな変革期を迎えているが、「球場確保」も新たな課題として出てきました。「野球人口の減少」も叫ばれている中、ジャイアンツタウンスタジアムのような新球場が出来、高校野球で使用できることは、プロ、アマの垣根を越えて、野球振興のために良いことだと映りました。
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1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。