プロ野球の試合では、ホーム、ビジター用とは異なる「第三」のユニホームを目にする機会が増えてきました。

 「第三」のユニホームが始まったのは、1998年に中日とロッテが日曜日に着た「サンデーユニホーム」。ロッテ球団広報によると「新たなファンサービスの一環だった」といい、曜日限定というアイデアが注目を集めました。

 今季も、球団創設90周年を迎えた阪神が、戦後「ダイナマイト打線」の異名を取った頃をモチーフにした復刻ユニホームを発表しました。黒が基調で、当時の球団名「大阪タイガース」にちなみ、胸に「OSAKA」のロゴを入れました。

 過去には、日本ハムの新庄剛志監督が23年にプロデュースした、赤と黒を大胆に配色し、胸元に「VICTORY(勝利)」の「V」をあしらうという斬新なユニホームで周囲を驚かせたり、オリックスが前身の阪急ブレーブスや近鉄バッファローズのユニホームを復活して、昔ながらのファンにも喜んでもらえるファンサービスを実施したこともありました。

 また、社会貢献を意識した動きもありました。巨人は東日本大震災が起きた翌12年、チームカラーのオレンジを押し出したユニホームで公式戦に臨む「橙魂プロジェクト」を開始。選手が着たユニホームを慈善オークションに出品し、被災地への義援金とする活動を続けています。

 今季も5月27に富山県、28日に石川県で開催する広島との試合など合計8試合を、能登半島地震、能登半島豪雨に対する復興支援として、黒基調のユニホームで戦う「ブラックダイヤモンドシリーズ」を開催します。

 ここ数年、「第三」のユニホームを採用していない広島では、栗林良吏投手が球団に製作を要望すると、球団は「今夏に実現できるよう調整する」と、検討を始めました。

 「橙魂シリーズ」における巨人の昨季まで3年間の戦績は12勝8敗1分けで、「第三」のユニホームが、選手の背中を押しているという見方もできそう。ファンにも、社会貢献にも、チームの成績にも良い特別なユニホームは、今後、さらに増えていきそうです。

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 1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。