プロ野球で破られない記録として、金田正一の400勝、王貞治の868本塁打などが挙げられるが、「1球場でシーズン20勝、100安打」も、なかなか出ない記録といえます。

 1球場で20勝は、1954〜61年の間に4人出ました。54年に杉下茂(中日)が中日球場で、58年は金田正一(国鉄)と藤田元司(巨人)がともに後楽園球場で、61年に稲尾和久(西鉄)が平和台球場でマークしました。

 最近のプロ野球では、シーズン20勝も2013年に田中将大(当時楽天、現巨人)が24勝したのを最後に不在なため、「1球場で20勝」を達成できる投手の出現は困難としか言えないでしょう。

 これに対し、1球場で100安打は、21世紀に入って3人出現しています。07年に青木宣親(ヤクルト)が神宮球場で、10年に西岡剛(ロッテ)が千葉マリンで、15年に秋山翔吾(当時西武、現広島)が西武プリンスドームで、それぞれ達成しました。

 シーズン試合数が増える傾向にあるため、今世紀に入って達成する選手が増えたと見られるので、この記録は、今後も達成される可能性は高いと言えるでしょう。

 「野球は記録のスポーツ」と言われるように、数多くの種類の記録があります。ただ、最近話題に上るのは大谷翔平(ドジャース)の大リーグ記録更新ばかりで、プロ野球の記録の話題は埋もれがち。

 今季はペナントレース争いだけでなく、記録の面で話題になるプロ野球選手の出現を期待したいものです。

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 1984年の王監督の時代から、藤田、長嶋、原監督まで、20年以上巨人を担当した某新聞社運動部元記者。