大谷翔平(ドジャース)は今季54本塁打でナ・リーグの本塁打王に輝いたが、飛距離も群を抜いていました。
大谷は450㌳(137・16㍍)以上の本塁打を、9本打ちました。これはメジャー30球団の中でトップで、ア・リーグで58本塁打で本塁打王を獲得したアーロン・ジャッジ(ヤンキース)は6本でした。
さらに驚くのが、各球団ごとの450㌳以上の本塁打合計数を見ても、大谷の9本を上回るのは、本拠地クアーズ・フィールドが標高1600㍍に位置し、ボールがよく飛ぶとされるロッキーズのチーム合計11本だけ。
ジャッジ、ファン・ソト、ジアンカルロ・スタントンと3人の長距離打者をそろえるヤンキースでさえチーム合計7本でした。
大谷の打球は、なぜ抜群に飛ぶのかーー。よく言われるのが、大谷が本塁打を打った時、最初は外野手が捕れるかもしれないと思って走り出すことがほとんどだが、打球にバックスピンがとてつもなくかかっているために、どんどん飛距離が伸びていって、外野手は途中であきらめるケースが大半を占めることです。
大リーグで最高のバックスピンをかけられるのは、構えた時、右腰が投球と反対方向へ向いてから回転して戻ってくるが、その時に右腰にとてつもない力が加わり、右足が地面から離れて、踵(かかと)だけ着いた状態となって、とんでもない飛距離につながると言われます。ある意味、王貞治の一歩足打法につながる部分があると思います。
極論すると、他のメジャーの打者は野球の硬式ボールを打っているが、大谷一人だけがゴルフボールを打っているように飛距離が違って見えます。
大谷が日本ハムに入団したころ、「松井秀喜の巨人入団時よりボールが飛ぶ」と言われたものだが、こうした天性に不断の努力が積み重なって現在の大谷があると、改めて思い知らされた気がします。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。