プロ野球の守備のベストナインを選ぶゴールデン・グラブ賞の受賞者が12日発表され、巨人の吉川尚輝がセ、パ両リーグ最多の232票を獲得して、セの二塁手として初選出されました。巨人の二塁手が受賞するのは、2002年の仁志敏久以来22年ぶりです。
巨人の二塁手というと、戦後、「猛牛」のニックネームで攻守に活躍し、ベストナインに4年連続輝いた千葉茂を筆頭に、名選手が引き継いでいきました。V9の時は「いぶし銀」と言われ、ベストナイン2度、ダイヤモンドグラブ賞(ゴールデン・グラブ賞の前身)1度受賞した土井正三。
その後は、首位打者2度、ベストナイン5度、ゴールデン・グラブ賞4度の篠塚和典。さらにゴールデン・グラブ賞4年連続受賞の仁志と、「名二塁手」がチームを引っ張ってきました。
しかし、仁志の後は、長くレギュラーを張った二塁手が現れず、巨人の弱点に「攻守に抜け出た二塁手の不在」が挙げられていました。そうした中、久々に表れたのが吉川です。
高い身体能力を持ちながらケガに泣かされるなど、試合に出続けたシーズンがありませんでした。しかし、8年目を迎えた今季、「143試合すべてに出場し、ゴールデン・グラブ賞を獲得する」との目標を、シーズン終盤に肋骨を折りながら執念で達成しました。
優れた位置取りや広い守備範囲、正確な送球は、心技体における準備の結果です。全試合に出て守備率9割9分4厘という数字にも表れました。吉川は「また来援、再来年と選んでいただけるように頑張ります」と笑顔で話していました。
それでもまだフル出場して1年。今後何年も全試合出場して、多くのタイトルや賞を取って、チームの優勝に貢献できなければ、真の「巨人二塁手の後継者」とはなれません。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。