野球日本代表「侍ジャパン」は「プレミア12」を前に、9,10日にチェコ代表との強化試合に臨みます。

 チェコと言えば、昨春のWBC第1次ラウンドB組で、初戦の中国を8-5で撃破。その後は日本に2-10、韓国に3-7、豪州に3-8と敗れて第1次ラウンドで姿を消したものの、その健闘ぶりは賞賛されました。

 何しろ、野球そのものがマイナーな国内事情では、選手はアマチュアリーグの選手が主体。野球以外の職業に就く社会人か学生が主で、消防士や不動産会社勤務、高校教師など、職業もバラバラ。終業後や授業終了後に練習するのが常で、大リーグやプロ野球など高額年俸で野球に専念する選手が中心の強豪国と比べると、その差は歴然。

 それでも日本戦では、大谷翔平選手(当時エンゼルス)から三振を奪ったり、165㌔超の「完全試合投手」の佐々木朗希(ロッテ)から得点を奪うなど、力を発揮しました。

 チェコが国際的な試合に初めて出場したのは、1996年のヨーロッパ野球選手権大会でした。その後、2004年のアテネ五輪予選では3位に終わり、五輪出場は成りませんでした。13年と16年のWBC予選もともに突破できず、22年9月のWBC予選でようやく本選出場を勝ち取りました。

 剛速球を投げる投手や本塁打を打てる打者がいないチェコだが、相手打者の目を狂わせる細かい継投策や、つなぐ打撃、いわゆる「スモールベースボール」を徹底していることが、WBCでの善戦につながったと見られます。

 神経科医でもあるチェコ代表のハジム監督は、8日の会見で「チェコで初めて野球の本が出版された。野球をやるこどもたちや野球ファンも増えた」と、WBC以後高まった「野球熱」を披露。9日先発のパディサク投手は米国のジョージア大大学院でビジネスを学ぶ学生で「侍ジャパンと対戦したいと思っていた」と意欲を示していました。

 9日の日本戦には、WBCで大谷から三振を奪った電気技師のサトリア投手や佐々木から死球を受け、お菓子の差し入れ謝罪をしてもらったエスカラ選手、巨人に育成選手として入団したフルプ選手も出場予定です。

 あれから1年半、チェコ野球がどんな成長を見せるか、楽しみな強化試合になりそうです。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。