10月に入っても各地で30度以上の真夏日が記録されるなど、「温暖化」は年々激しくなっていく傾向にあります。日本高校野球連盟(日本高野連)は今年、「7イニング(回)制」の導入について検討を始め、選手や観客の健康対策につなげることを目指しているが、「野球は9回制という思いが選手、指導者に強い」のも事実。今後どういう経緯をたどっていくか、注目していきたいと思います。
7回制の導入は2月、暑さ対策を検討する日本高野連の会議で発案されました。6月からは元指導者や大学教授らで作るワーキンググループで議論を始め、健康管理だけでなく、少子化による部員数減少などの課題解決につながるかを話し合っています。
米国発祥の野球は当初、21点先取制だったが、1857年に9回制となりました。170年近く9回制は維持されてきたわけです。
9回制から7回制に変われば、明らかに暑さ対策にはなり、甲子園球場で行って欲しいという声は強く出ています。今夏の大会では、のべ56人に熱中症の疑いが見られました。こうした厳しい暑さを避けるため、1日3試合の日に限って採用された、朝夕に試合する「2部制」も、7回制となれば、4試合日でも可能になります。
一方、7回制だと打席や登板イニング数は減り、代打の起用も少なくなるなど、選手の出場機会は減っていきます。試合に出られない選手が増えれば、野球を辞める生徒も増えていくでしょう。
それでも、9月に台湾で開かれたU-18アジア選手権は7回制で実施され、高校年代では米国など約10か国が国内の大会で7回制を採用しています。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)も、2019年に国際大会での導入を決めました。もっとも、WBSCは狙いを「ファンやテレビ放送に向けて、よりスピーディーな試合にするため」とし、暑さ対策を目的とする日本とは事情が異なるようです。
いずれにしろ、選手やファンの暑さ対策と、野球の魅力を両立させるため、徹底的に議論を重ね、高校野球をいい方向に変えていって欲しいものです。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。