巨人は25日、昨春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にチェコ代表として出場したマレク・フルプ外野手(25)と育成選手契約を結ぶことで合意したと発表しました。背番号は「037」。1㍍93、90㌔の右投げ右打ちで、今季は米独立リーグで80試合に出場し、打率2割5分2厘、7本塁打、43打点。球団を通じ「日本でプロ野球選手になる夢がかなった」とコメントしました。
WBCの日本戦で、佐々木朗希(ロッテ)の163㌔の速球を左翼線二塁打という打撃で注目を集めたフルプ外野手。
実は、巨人は世界中の才能をマークしていて、昨年7月から独立リーグでプレーするフルプ外野手の情報を継続的に収集していました。今季の支配下登録期限は過ぎているので、来季以降を見据えての入団となりました。
プロ野球界でチェコ国籍の選手は史上初となります。欧州出身選手も球界ではレアケースで、巨人では1936年ロシア出身で無国籍(日本選手として登録)のスタルヒン、97年ドイツ出身で米国籍のデビッドがいるが、欧州国籍は第1号となります。
昨春のWBCでは、欧州からチェコを含む4か国が本大会に出場。イタリアが準々決勝に進出するなど、欧州にルーツを持つ選手のレベルが急上昇しているという現実もあるが、チェコ国内の野球人口は1万人にも満たず、まだ野球のレベルは欧州でも低いと見られています。そのため、フルプ外野手の挑戦はチェコにとっても大きな一歩となる可能性があります。
巨人は、今季途中にヘルナンデス、モンテスと、大リーグのマイナーが主戦場だった選手を獲得。2選手とも、開幕前に二軍調整を拒否して帰国したオドーアの穴を埋める以上の活躍を見せました。米国内での実績より、日本野球への適応力も見極めを重視したスカウティングが功を奏したと言えます。
その意味でハングリー精神があり、潜在能力が底知れないフルプ外野手がどんな選手に育っていくか、注目されます。
【レルク・フルプ】1999年1月9日、チェコ共和国生まれ。高校卒業後に渡米。大学時代は5シーズンで39本塁打。2023年のWBCではチェコ代表として日本と同じB組に所属し、初戦の中国戦には勝利したが、その後は日本、韓国、豪州に3連敗して敗退。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。