ドジャースの大谷翔平が挑む前人未到の「50本塁打、50盗塁」がいかに困難な数字なのか――を検証していきたいと思います。

 1920年にベーブ・ルース(ヤンキース)が54本塁打を放ち、史上初の「50本塁打」を達成しました。以来、今季のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)まで31人(のべ49人)が「50本塁打クラブ」に入っています。

 この中で年間最多盗塁は、55年のウィリー・メイズ(ジャイアンツ)の「54本塁打、24盗塁」で、「史上最高の万能外野手」と評されたメイズでさえ、「50‐50」には遠く及びませんでした。

 一方、これまで年間50盗塁以上をマークした選手の最多本塁打記録は87年のエリック・デービス(レッズ)の「37‐50」、90年のバリー・ボンズ(ジャイアンツ)の「33‐52」、昨季のロナルド・アクーニャ(ブレーブス)の「41‐73」が、際立った記録。

 ちなみに、92年にブラディ・アンダーソン(オリオールズ)が、「21-53」、96年に「50‐21」と、異なる年に50本塁打と50盗塁を記録したことがあるが、同じ年の達成は成りませんでした。

 このように、パワーとスピードを兼ね備えて「本塁打と盗塁」を同時に量産する「40‐40」でさえ、これまで6人しか達成者はおらず、「50‐50」など、「夢の数字」と言われていました。

 大谷の「40‐40」は、劇的なサヨナラ満塁本塁打で達成したが、果たして「50‐50」は、いつ、どこで成し遂げるか――。

 今季の打撃データから算出すると、24日~26日(日本時間25日から27日)の本拠地最終カードとなるパドレス戦が最有力と言えます。このカードは、ドジャースが「ナ・リーグ西地区優勝決定」の日と重なる可能性も出てきました。

 「50‐50」の偉業達成とドジャースの地区優勝がいつになるか、目の離せない「ヒリヒリする9月」になってきました。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。