第106回全国高校野球選手権は19日、準々決勝4試合が行われ、公立高校で唯一残っていた大社(島根)が神村学園(鹿児島)に8-2で敗れ、準決勝は私立高校4校の戦いとなりました。

 1915年の第1回大会に出場した地区代表の10校は、公立の旧制中学が中心で、私立は早稲田実業(東京)の1校のみでした。私立の出場校は、戦後の混乱期における一時的な減少を除いて増加傾向が続き、64年に初めて半数に達しました。95年以降は常に5割を超え、近年は8割前後になっています。

 今夏は、甲子園に出場する公立は12校で、北から金足農(秋田)、石橋(栃木)、富山商(富山)、掛川西(静岡)、岐阜城北(岐阜)、菰野(三重)、大社、南陽工(山口)、鳴門渦潮(徳島)、有田工(佐賀)、熊本工(熊本)、宮崎商(宮崎)となっています。

 私立が優位となる中、徳島県だけは37年の第23回大会で徳島商が四国代表として初出場して以来、公立だけが出場し続けています。徳島に次いで公立が強いのは富山県で、私立が出場したのは4回だけ。

 逆に私立が多いのは東京都で、公立が代表になったのは5回にとどまります。東京都は74年から東東京と西東京の2ブロックに分かれたため、出場権を得たのは延べ154校に上ります。そのうち、公立は46年の東京高師付中(現筑波大付)、80年の国立、99年と2001年の城東、03年の雪谷の4校、5回だけです。

 全国優勝が最多の14回を誇る大阪府も私立が優勢で、公立が出場できたのは25大会だけで、1991年以降は私立だけになっています。2017年には公立の大冠が大阪大会の決勝に進み、一時3点リードしたものの、大阪桐蔭に敗れました。

 1996年夏の甲子園決勝では、松山商(愛媛)と熊本工の公立同士の決勝戦が行われたが、公立同士は、これが最後となりました。また、最後に公立が優勝したのは、センバツは2009年の清峰(長崎)、夏の選手権は07年の佐賀北(佐賀)で、15年以上経過しています。

 その意味で、大社の快進撃は高校野球ファンから多くの共感を呼んだわけだが、果たして、次に公立高校が栄冠を手にするのは、いつになるでしょうか……。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。