米大リーグの先発投手が1試合で最低6回を投げることを義務化するルールの設置について、大リーグ機構が検討していると、15日(日本時間16日)、スポーツ専門局ESPN(電子版)が伝えました。

 ピッチクロック(投球時間制限)やベースの巨大化、守備シフト禁止、けん制の回数制限など、新たなルールが昨季から導入された大リーグ。投手交代も、最低3人に投げるか、そのイニングを投げ終えるまで禁じられるなど、試合時間短縮を目的として、毎年のように次々と新たなルールがメジャーで加わっています。

 そして、次なる一手として、「先発投手は6回以上を投げなければならない」という新ルールの検討に入りました。その理由は、最近は先発投手の故障が相次ぎ、登板イニングも減る傾向にあることがあるようです。先発投手の平均投球回は2014年は5.97回だったが、今季は5.25回まで減っています。こうした傾向を減らすことを挙げています。

 もちろん、どんな状況でも6回を投げなければいけないということではなく、「100球」、「自責点4以上」、「けがをした場合」では、6回を待たずに降板が可能となります。

 6回以上の投球を義務付けるのに、なぜ負担が減るのか? 一見、矛盾した狙いに映るが、期待は投球スタイルの変化にあります。近年は動作解析の進歩などにより、100㍄(約161㌔)を超える速球派が増えた一方、肩ひじの故障者も続出しています。

 「6回以上を義務化することで、投手は三振だけを求めて常に全力投球はせず、長いイニングを投げようと、打者を打たせて取る方法を探るだろうと期待している」と、同局は指摘しています。球速ではなく、制球を重視する方向への転換を促して、けがを減らす方向へ持っていくことを目指しています。

 実現すれば、来季は投手復帰予定で、再び「投打二刀流」に戻る大谷翔平(ドジャース)への影響は必至で、どういう検討がなされ、どんな結果が出るか、注目されます。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。