巨人の坂本勇人は7日、東京ドームで行われた広島戦に「6番、三塁」で出場し、通算189回目の1試合3安打以上の「猛打賞」を記録しました。打撃不振のため、6月下旬から2週間ファーム暮らしを経験したが、ようやく復調の兆しが出てきたようです。

 一回に変化球を拾って中前打。四回には外角球に食らいついて三遊間を破り、モンテスの適時打で先制のホームを踏みました。六回には内角速球を引っ張り、左翼線二塁打で2点目につながる好機を作り、再び生還しました。

 プロ野球では、1試合3安打以上を記録した選手に対して、スポンサー企業などから贈呈される賞のことを「猛打賞」と言います。日本の野球界特有のもので、1949年に制定されました。

 メジャーリーグには同様の賞は制定されていないが、類似例として1選手が1試合中に2安打以上をマークすることを「マルチヒット」と呼称するが、特に賞品が贈呈されることはありません。

 プロ野球の通算記録ベスト10は、①張本勲(東映など)251②川上哲治(巨人)194③坂本勇人(巨人)189④長嶋茂雄(巨人)186⑤野村克也(南海など)180⑥福本豊(阪急)、松井稼頭央(西武)各178⑧立浪和義(中日)175⑨王貞治(巨人)171⑩広瀬叔功(南海)169――となっています。シーズン記録では、西岡剛(ロッテなど)と秋山翔吾(西武など)の27回が最多で、、イチロー(オリックスなど)の26回が続いています。

 イチローは、日米通算で379回(日本120、米国259)の「1試合3安打以上」を記録しています。また、シーズンでは、2004年に34回マークしました。

 連続猛打賞記録は西沢道夫(中日)と井口資仁(ダイエーなど)の5試合連続が最多。最年長猛打賞記録は、パ・リーグが落合博満が日本ハム時代にマークした44歳5か月、セ・リーグが谷繫元信が中日時代に記録した44歳4か月。

 打順が1番、2番は回ってくる打席数が多く有利で、王貞治のように四球の多い選手は不利な「猛打賞」。大リーグには存在しない記録だが、「1試合3安打以上」すれば、チームの勝利に貢献する確率は高いだけに、数多くマークするに越したことはありません。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。