第106回全国高校野球選手権の開会式が7日、甲子園球場で行われ、開幕戦の始球式を江川卓が務めました。開場100年目を迎えた同球場で、「鮮烈な印象を残した投手」として選ばれたが、作新学院(栃木)時代、完全試合を2度、ノーヒットノーランを9度記録できた基本は豪速球。甲子園100年の豪速球投手を見ていきます。

 最初は京都商業(京都)の沢村栄治。1933年の春、34年の春夏の甲子園に出場。34年夏の京都予選準々決勝の京都一工戦では23奪三振をマークし、同年秋の市岡中(大阪)との定期戦では九回まで25奪三振、延長16回日没コールドまで36三振を奪いました。そして、同年11月の草薙球場(静岡)での日米野球に中学生で登板し、8回、5安打、9奪三振、1失点の好投を披露。ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグら全米打者に「あのスピードで浮いてくると、ちょっと打てない」と言わしめました。

 次は浪商高校(大阪)の尾崎行雄。60年夏、61年春夏に甲子園出場し、61年夏は2年生で全国優勝。高校通算で1試合平均14奪三振の記録を持ち、「ど真ん中に投げても打たれない豪速球が武器」と評されました。同年10月には2年生ながら複数のプロ野球から勧誘を受け、高校を中退して東映に入団。翌年のプロ1年目にはオールスターまでに18勝を挙げるなど、20勝9敗、防御率2.42の好成績を残し、18歳で史上最年少の新人王に選ばれました。

 3人目は江川。72年の高校2年秋の栃木県大会と関東大会では、7戦全勝、53投球回、無失点、被安打12、奪三振94、奪三振率16.0(高校3年間通算では14.0)で、翌年春の選抜大会出場を決めました。その選抜の北陽(大阪)戦では初回から11連続奪三振など計19三振完封勝利を収め、大会通算60奪三振の現在も残る記録を達成。73年夏の県予選は5試合投げ、無失点、被安打2、70奪三振、うち3試合ノーヒットノーランという、とてつもない成績を残しました。

 最後に横浜高校(神奈川)の松坂大輔。98年の3年生の春夏甲子園連覇を果たしたが、春の優勝で、夏の甲子園は「打倒横浜、打倒松坂」で全チームが立ち向かってきました。準々決勝のPL学園(大阪)戦では延長17回に250球を投げ完投勝利。翌日の準決勝の明徳義塾(高知)戦では1イニングを投げ、決勝の京都成章(京都)戦ではノーヒットノーランを達成。結局、松坂は、2年夏の新チーム結成後、公式戦44連勝を飾ったが、その原動力は155㌔超の豪速球でした。

 開幕したばかりの第106回大会では、どんな豪速球投手が出現するか、楽しみです。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。