日本高校野球連盟は、猛暑などから選手の安全を守る対策として、7イニング制導入について検討するワーキンググループ(WG)を設置したと、このほど発表しました。既に6、7月に会合を開いており、12月の理事会で議論の内容を報告します。

 WGでは、高校野球の元監督やスポーツ健康科学の専門家など11人のメンバーで幅広く意見を交わしてきました。今後も、甲子園で行われる春夏の全国大会だけでなく、地方大会を含めたすべての試合を対象に、7イニング制の長所と短所を議論していきます。

 国際大会や海外の高校生年代の試合で、既に7イニング制で実施されているのは米国やドミニカ共和国、台湾、韓国、豪州などがあり、国内でもコロナ禍の時に行われた例があります。2020年に新型コロナウイルスの影響で、夏の全国高校野球選手権が中止になる中で、京都や埼玉などで「独自大会」を行った際、7イニング制を取り入れました。

 現在の9イニング制に比べれば、7イニング制の方が熱中症のリスクが低減することが考えられる一方、7イニング制になった場合でも、リスクが大幅に減るわけではないとの意見もあります。「野球は9イニングで」という根強い考えもあります。

 一方、阪神電鉄は、開場100年を迎えた甲子園球場の「銀傘」を、一、三塁側のアルプス席まで広げる工事を、11月に着工すると発表しました。工事はプロ野球のシーズンオフに実施し、総工費約150億円をかけ、28年3月に完成の予定です。

 猛暑から観戦環境を改善することを目的とし、約3300平方㍍広げることで、内野席全体の8割を覆う計画です。1日当たりの日照時間も、アルプス席中段付近で6時間減ると試算しており、応援団の生徒や観客の暑さ対策に有効になるとしています。

 しかし、7イニング制や銀傘拡大も、猛暑の中で選手がプレーし、観客が観戦することに変わりはなく、抜本的な解決策ではありません。「甲子園球場をドーム球場に変える」、「開催時期を8月から秋の10月頃に変える」、「試合実施時間を午前9時までと、午後6時以降のみとする」などの改革をしないと、本来の意味の猛暑対策にはならないと思うのですが……。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。