DeNA対巨人戦が28日、横浜スタジアムで行われ、菅野智之の2021年4月16日の同じDeNA戦(横浜スタジアム)以来1199日ぶりの完封勝利で巨人が6-0で快勝したが、菅野の完封以上に驚いたのが女房役の小林誠司の22年5月27日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来793日ぶりのマルチ安打であり、まさかの申告敬遠でした。

 巨人5点リードの八回、二死二塁で小林に打順が回ると、DeNAベンチは一塁を指差しました。続く菅野との勝負を選んだ形だが、満員の場内は大きくざわめきました。

 試合前時点での小林の打率は1割4分5厘だったが、この日は三回に6月30日の広島戦(東京ドーム)以来28日、13打席ぶりの右前打を放つと、五回は一死一塁でエンドランのサインで右前打を決めて、大量5得点につなげるマルチ安打を放つノリノリぶりでした。

 DeNAベンチが申告敬遠を執った理由はこのためだが、巨人の阿部慎之助監督は「誠司が打つと、一気にチームが盛り上がる」と話す意外性のある小林の打撃。何しろ、14年のデビューの年から、この試合前まで797試合の出場で1806打数370安打、16本塁打、148打点、372三振、打率2割5厘の通算成績。

 捕手としては16年~19年まで4年連続盗塁阻止率リーグ1位を達成するなど、強肩ぶりは実証済みだが、打率は16年、17年と2年連続でリーグ最下位を記録。翌18年は規定打席に到達せずに「3年連続」の不名誉は免れたが、その年の打率最下位だった菊池涼介(広島)の2割3分3厘を下回る2割1分9厘でした。

 22年には、巨人の野手ワースト2位となる40打席連続で無安打(1位は1999年に光山英和が記録した43打席)という記録を作ったこともあります。この間、小林はオールスターゲームで3打数無安打だったため、これを含めると43打席連続無安打になります。

 こうした小林の打撃に関する様々な数字のため、「申告敬遠」にスタンドがざわついたわけだが、「打撃がいいとリードも良くなる」の確言通り、菅野の完封までつながった気がします。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。