第106回全国高校野球選手権の地方予選で、連合チームの活躍が目立っています。

 富山大会では15日、富山西、呉羽、伏木の連合チームが、2回戦でシード校の高岡に3-2の逆転勝利を収めました。0-2で2点リードされた七回、二死二、三塁から「4番、右翼」の伏木・田中勇樹選手の本盗で1点返すと、八回には内野ゴロの間に同点に追い着き、田中選手の中犠飛で勝ち越しました。

 勝利校の校歌斉唱では、選手たちが順番に所属する高校の校歌を斉唱したが、最後の伏木は田中選手1人が野球部員のため独唱。観客席からは温かい笑いが起こったそうです。

 田中選手が入学した時には8人の部員がいました。しかし、上級生が引退し、同級生も部活を次々辞めたため、昨年の夏の大会後は部員が1人に。このまま下級生が野球部に入らなければ、一旦、部は幕を下ろします。その前に勝利で校歌を独唱できたことは、何よりの「高校野球の思い出」となったことでしょう。

 福島大会では18日、安達、本宮の連合チームが2回戦で福島明成に6-4で逆転勝ちし、ベスト16に進みました。連合チームが16強入りしたのは、夏の福島大会では初の快挙です。

 和歌山大会では15日、2回戦で新宮、新翔の連合チームが、春15回、夏7回甲子園出場の伝統校の向陽を10-5で下しました。新宮は春、夏各5回の甲子園出場経験があり、OBには元阪神の藪恵壱投手などがいる古豪です。

 連合チームは、統廃合で出場できなくなった高校の救済措置で、1997年から始まり、2012年夏からは、部員不足(8人以下)の学校同士による連合チームも認められました。さらに今年から総数20人をを上限に部員数9人以上の学校が含まれていても、連合チームを組むことが可能になりました。こうしたことで、連合チームは年々増加傾向にあります。

 連合チームが甲子園出場を果せば、高校野球の歴史が変わり、少子化での新たな高校野球像が生まれてくる気がします。

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 1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。