今夏の第106回全国高校野球選手権大会(阪神甲子園球場、8月7日~23日)では、猛暑の昼間を避け、朝夕に分けて試合を行う「2部制」が、初めて実施されます。同球場が1924年8月の開場から100年を迎える大会で、日本高校野球連盟は改革に乗り出しました。
甲子園では近年、熱中症とみられる症状で足がつる選手が続出しています。2022年は51人、23年は34人に熱中症やその疑いの症状が見られ、6試合が治療のため中断しました。
少しでも選手の疲労を軽減しようと、同連盟では19年にはスパイク内部の温度を下げるとして、黒色だけでなく、白色も認めました。23年からはベンチ入りの人数を18人から20人に増やし、五回終了時には体を冷やすために10分間の「クーリングタイム」を設け、ベンチ裏に送風機やサーモグラフィーを設置するなど「対症療法」を実施してきました。
今夏の対策は、まず1日3試合の日程を開幕からの3日間に集めました。開幕日は、開会式をこれまでより30分早い午前8時30分開始とし、午前10時に第1試合をプレーボール、残り2試合は午後4時から始めることにしました。第2、3日は午前8時から順に2試合を行い、第3試合は午後5時開始としました。準決勝は第1試合を午前8時、第2試合は10時35分開始、決勝は午前10時開始に早めました。
地方大会では、既に「2部制」は実施されており、18年には京都大会の準々決勝で朝夕の2部制が行われ、今夏も愛知大会は午前中に2試合、第3試合は午後3時開始、三重大会では1日2試合までとし、いずれも午前中に始める対策を取っています。
また、小学生が出場し、毎年8月に都内で行われる全日本学童軟式野球大会では、22年から正午~午後4時は試合を行わないことにした結果、その後の選手の熱中症の報告はなくなりました。
しかし、今夏は1日4試合行う日は、これまでと同様、気温が上がる時間帯も試合が行われます。今夏の「2部制」を検討し、来年以降は全試合が昼間の試合を避ける対策を考えないといけない時期に来ました。
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1984年の王監督の時から藤田、長嶋、原監督の時代まで20年以上、巨人を担当した某新聞社運動部元記者。